これは政治的巧者であるカルロス国王が、表の顔と裏の顔という二面性を使い分けていたためである。 本研究では彼の二面性を、個人の生立ち・思想・性格だけではなく、スペイン王家の悪しき歴史を打破するものとして捉えた。 前述のよ …
更にフランコが武力で抑圧してきたカタロニア州やバスク地方に大幅な地方自治を認めたことが、かえって地方の独立運動を刺激した。 バスク独立運動派が起こしたテロは、フランコ配下だった軍人を主な標的にして多数を殺害した。 共産党 …
国王カルロスはスペインの将来の発展と、王家の安泰のために、立憲議会制国家建設を企図した。 そのためにフランコの郎党(ブンカーと呼ばれる)と戦う人間を物色した。 白羽の矢は野心家スアレスに立った。 スアレスは、フランコ時代 …
研究の内容 研究の対象とした「民主化移行期」は、スペインにとっても世界にとっても激動の時代だった。 1973年と79年の二度にわたるオイルショックと世界的な経済変動。 1974年に起こった隣国ポルトガルの軍事クーデター …
研究の方法 フランコ総統の死去からEU加盟までの約10年間を「民主化移行期」と呼ぶ。 この期間の最大事件は、冒頭に挙げたクーデター事件(23F事件)である。 クーデターは結果的に失敗したが、スペイン国民に忘れがたい記憶 …
研究の目的 研究を始めたころ(2011年)のスペインは、リーマンショック後に不動産バブルがはじけて得意の絶頂から奈落の底へ転げ落ちている最中だった。 スペインは400年前にも同じ局面に遭遇している。 無敵艦隊がイギリス …
研究の動機 1982年4月に仕事でマドリードに着任したとき、この国の「光と影」に驚いた。 「光」の部分は、未来への活力。 若い世代が元気だった。 82年10月に政権を握ることになる40歳のゴンザレス首相が大人気だった。 …
1981年2月23日午後6時、スペインの首都マドリードでクーデターが勃発した。 アントニオ・テヘロ中佐に率いられた治安警備隊186人が突如国会議事堂に乱入し占拠した。 彼らの狙いは国会議員全員を人質にすること。 その日は …