2024年度の米国大統領選挙はドナルド・トランプ候補の圧勝でした。
事前の報道では、カマラ・ハリス候補との大接戦が伝えられていたので、11月5日の投票日のあと、結果が確定するまでに1週間くらいは必要かと思っていた人が多かったのが、
あっさりとトランプ候補勝利で決着がつきました。
私は、大学のシニアコースで、米国の政治、特に大統領選挙について授業を行った直後
だったので、非常に関心を持って選挙結果を見ていました。
正直なところ、トランプもハリスも、自分の陣営を固めるのに精いっぱいで、相手を脅かすような強い候補とは言えず、両方とも弱い候補なので、報道の通り接戦になるだろうなと思っていました。
意識調査などによれば、選挙民の一番の関心は経済ということだったので、株高で経済が
好調な現職が有利と思っていましたが、バイデンからハリスへの候補者変更が遅すぎたので、これがどれくらい民主党支持の選挙民に影響を与えるかが勝負かなと考えていました。
後付けで考えれば、選挙民の関心は、確かに経済でしたが、ポイントは株高や好景気ではなくて、インフレだったのです。
インフレつまり生活苦が一般国民に与えた影響は、物理的にも心理的にも大きなものが
あったようです。
今年を振り返れば、世界各国で選挙がありましたが、押しなべて与党が不利でした。
日本でも、政治資金問題などといいますが、根底には国民が物価高に不満を持っていることが、自公敗退の根本的な原因でしょう。
さて、これからの米国の政治ですが、しばらくは政府高官人事のニュースであれこれと
コメントが出るでしょう。
トランプの共和党が、上院・下院共に過半数を押さえたので、第一期と違って、人事は
殆どが承認されるでしょう。
再選の可能性が無いトランプは、自分に忠誠を誓う閣僚などを使って、少なくとも中間選挙までの2年間は、やりたい放題の政治をする可能性がありますね。
翻って、米国経済ですが、トランプの減税を始めとする政策を、本当に実行すれば、
米国は確実にインフレになります。
これまで米国は、自国のドル高(米国以外の国々の通貨安)によって、世界中の資金を自国に集め、その結果、自国のインフレを世界に輸出していたのですが、中国という
巨大なデフレマシーンの存在が中和剤になって、世界は大きなインフレの波に洗われて
きませんでした。
しかし、今後は米国の中国封じ込め政策と、中国自体の経済力衰退によって、ますます米国発のインフレが世界を覆うでしょう。
日本も例外ではありません。
どの程度かは別にして、日本の金利も物価も、当分の間、上昇か、高止まりになると思いますね。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD139VZ0T10C24A9000000
(日本経済新聞電子版 2024/11/17)
誰かが言っていましたが、最近は店舗で必要な品物の欠品が目に付くようになった。
過去数十年で、店舗の陳列棚に商品が無いという事態は、ほとんど経験した事が無かったが、
今後は、欲しい商品が必要な時に手に入らないということが、頻繁に起こりえるのではないか?
もしもこれが、お金を持っている人しか必要なものが買えないということならば、ある意味、
日本の政治のゲームチェンジになるかもしれない。
トランプ新大統領の4年間は、日本にとっても、他人ごとではない4年間になりそうな気がします。
大変といえば、大変ですが、考え方を変えれば、面白いと言えば面白い4年間になりそうです。