• 定年男子のランとマネー

ご縁があって大学のシニアコースで米国政治の授業をしています。

4回の授業の最終に「米中対立」をテーマに話すので、直前の3回目の授業に「やさしい地政学」の授業を入れることにしました。

地政学については、多種多様な書籍が出ており、私も昨年来10数冊を読みました。

また地政学は資産運用にも関係することから、投資に関連する動画なども、かなりの数を

視聴しました。

地政学では、陸のランドパワーと海のシーパワーが覇権を争って、双方の力がぶつかるところ、

つまり半島部分(リムランド)で紛争が起こりやすいと説明します。

確かに、現在の紛争を見ても、イスラエルとハマス、ロシアとウクライナ、朝鮮半島などで紛争または紛争の火種が起こっています。

これについて、シーパワーの盟主である米国は、イスラエル支持、韓国支持、ウクライナ支持の方針ですが、国力の衰えと国内の分断によって、国論が割れています。

特に、共和党の大統領・副大統領候補はウクライナ支援には、やや懐疑的に映ります。

「欧州のことは欧州で対処してほしい」ということではないかと思います。

そのウクライナ戦争ですが、最近、北朝鮮が1万人以上の兵士をロシアに送っているという

報道がありました。

プーチン大統領と金正恩総書記の関係が、近来緊密化しているという報道もあったので、

その一部が現れたということかと思います。

さらに、ロシアの兵士不足が言われています。

もしも、プーチンが北朝鮮を丸ごと傭兵扱いにしたということになると、金正恩への見返りに核兵器

関連やミサイルの技術供与が行われて、朝鮮半島の緊張が高まる恐れがありますね。

別の報道では、北朝鮮は韓国を敵性国家として、両国を繋ぐ通路の一部を破壊したとも

伝えられています。

地政学的に見て、朝鮮半島は、独自の文化を育むには、縦に短く横に狭いので、

歴史的には中国に従属してきましたが、近世では日本からの圧力も同時に受けて

親中国と親日本(親米国)の両派が交互に現れるような形になっています。

ここで北朝鮮が、韓国との統一に本当に見切りをつけて、ロシアや中国と結ぶ決定を下したのであれば、地政学的に考えれば、ユーラシア大陸の中心部を押さえる三国が、周辺の国々を圧迫して勢力を広げていき、いずれはシーパワーの国々(米国・英国・日本・オーストラリアなど)と衝突することになります。

歴史を振り返れば、ランドパワーを信奉したヒットラーのドイツが、欧州の侵略を開始し、最終的に

シーパワーの英国と衝突したことを思い起こさせますね。

当時の英国議会の論戦の一部は、「20世紀のスピーチ集」で読みましたが、ドイツ宥和政策を

主張するチェンバレン首相を、チャーチルが激しく攻撃し、最終的にチャーチルが首相になって、

対ドイツ戦争を戦った経緯がよくわかります。

愚かにも歴史を繰り返して、ランドパワー3国とシーパワー4国が争い、第三次世界大戦が勃発するような事態は、できる限り御免蒙りたいですね。

その意味では、現在行われている米国大統領選挙と衆議院議員選挙は、世界の先行きに大きな影響が

あるような気がします。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA