先日のFP相談は、海外在住の方からの資産運用について。
簡単に言えば、日本にある円預金を、現在の居住地に取り寄せて、「長期・分散・積立」を
ポリシーに資産を運用してみたいとのこと。
ご相談はご本人ではなくて、日本に在住の親族からのメールでの打診でした。
私は、「政府の脅しが効きすぎて、とうとう海外在住者まで老後不安が伝染したのか?笑」という思いにとらわれましたが、今後のインフレリスクを考えれば、何歳からであっても
資産運用を考えることは悪いことではありません。
私のところに相談が来た理由は、私が過去に銀行に勤務していて、しかもそのころに海外赴任を経験したからではないかと思います。
国際的に活動する企業の財務部門の方で、国際税務や外国為替管理法に詳しい方はいるのですが、そのような方々は企業の財務や税務に特化していて、なかなか個人の資産運用の場面には現れません。
それに、企業(法人)の国際税務と、個人の税務や法律は、多少分野が異なるので、
知識や経験を持つ人は少ないのではないかと思います。
海外に在住する人は、所得税法では「非居住者」と呼びます。
逆に、日本に在住している人は「居住者」です。
非居住者は、基本的に、その国の在住許可(VISAまたは永住許可)を取得しています。
VISAの種類には、例えば短期間の留学VISAや比較的長期の就労VISAがあります。
居住国の方と婚姻関係にある場合は、長期のVISAが取得しやすいし、子供さんがいれば
米国やユーロ圏では、子供さんは、日本国籍と共に、その国の国籍が取得できることが多いです。
(二重国籍)
さて、この非居住者ですが、基本的に日本国内で証券口座は開設できません。
既存の口座を持っていた場合には、一部の例外を除いて、解約を求められます。
従って、投資を継続するためには、現地に資金を取り寄せるわけですが、日本に限らず、最近はコンプライアンス規定が厳しくて、厳密な本人確認が銀行に求められます。
外国送金の時に、第三者に委任をすることもできるようですが、手続きは各銀行で確認する必要があります。
また銀行によっては、そもそも出国時に口座の解約を求められることもあるので注意が必要です。
非居住者の日本国内での口座維持を認めている銀行でも、外国送金には消極的です。
場合によっては、特別サービスの定額的な利用料を求める銀行もあります。
このように、居住者と非居住者を隔てる壁は、相当に高くて厚いので、法令や規則を
良く知らないで、自己流でアクションを起こすと、下手をすると法律違反になる可能性も
ありますね。
海外の資産運用ですが、資金が手元に到着すれば、現地の証券会社に口座を開設して
運用するだけです。
しかしながら、金融商品は、それこそピンキリなので、自分の運用方針を定め、方針に合致した商品を選定する必要があります。
ただし、投資目論見書などは膨大な量で、これを読み込むとすると、語学力と金融知識と
根気が必要でしょう 笑
誰か、信頼できるアドバイザーにサポートしてもらえればよいのですが、今度は、その国の
金融アドバイザーシステムの概要を分かったうえで、良いアドバイザーを探すことになります。
うっかりと信頼できないアドバイザーにアドバイスを依頼すると、不適当な商品を勧められることや、法外な手数料を求められるリスクもありますからね。