10月8~9日に、福島県の安達太良山(あだたらやま)登山と、近くの幕川温泉水戸屋
旅館でかけ流し温泉を堪能してきました。
今回の旅は、7月に南アルプスの北岳に登った4人が、再度集まって行ってきました。
北岳は、キツイ登りと酷暑でしんどい登山だったので、今回は紅葉を愛でながら、山と
温泉を楽しむプランです。気が向いたら、俳句でも捻ろうかという感じですね。笑
午前6時12分東京駅発のつばさ121号に乗って、4人は一路福島駅へ。
福島駅前のトヨタレンタカーで、ヤリスを借りて、奧岳登山口へ向かいました。
レンタカーを予約した人が、うっかりして免許証を忘れてひと騒ぎ。
幸いメンバーの一人が、快く運転手を引き受けてくれました。
福島駅から奧岳登山口までは、約50分かかりましたが、途中から山道になり、
ヘヤピンカーブが連続する登りの道路でした。
崖もあるし、安全運転するだろうなと思っていると、俄然スピードが上がり、
ハイブリッドカーで静かなはずなのに、エンジンが唸りっぱなしで、カーブに来ると
鋭いコーナリングで躱していきました。
全員が60代後半で、みんな揃って福島県の田舎道で崖から転落するのは、
御免蒙りたいなと思っていると、一人が「えらく飛ばすな」と声を掛けました。
話を聞いてみると、大学生のころ(約50年前)神戸の六甲山ハイウェイで、助手席に
ガールフレンドを載せて、ヘヤピンカーブを躱しながらドライブしたのを思い出した
そうです。
「ハンドルを切って、タイヤを鳴らしながら、急カーブを曲がると、隣の女の子が喜んでね」
昔のモテ男だった時代の思い出話でした。笑
奧岳登山口からは、ロープウェイで山頂駅に向かいます。
文明の利器(ロープウェイ)は活用しよう・・というわけですが、三連休の行楽日和とあって、チケット売り場は順番待ちの長蛇の列。
しばらく並んで、山頂駅に着いたら、案の定、沢山の人人人。
これらの登山者が、通常は一時間半ほどかけて、安達太良山山頂に向かうのですが、
渋滞に次ぐ渋滞で、なかなか前に進みません。
オマケに、くろがね小屋からの登山路が工事中との看板があって、狭い登山路は往復の
人で大渋滞。
後で聞いてみると、くろがね小屋登山路は、土日祝日は開放しているそうで、
「早く言ってよー」という感じでしたね。後の祭りですが 笑
渋滞中に、紅葉を楽しみたかったのですが、9月末近くまで続いた猛暑のおかげで、
例年は見ごろのはずの紅葉が、今年はさっぱりでした。
それでも数日前から、急に寒くなったので、山はところどこと黄葉していましたね。
この渋滞の中でも、マナー違反の人がいて、「上り優先、どいて、どいて」と叫びながら
どんどん上がってくる人が一名。
「あれは、何の人?」
「どうも、迷惑登山者みたいだね」
「どこでも、こんな奴はいるな」
この迷惑者は、あとの下りでも、しれっと足早に降りて行ったそうです。
安達太良山は、日本百名山の一つで、山頂は「乳首山」と呼ばれています。
実際は、岩場で、少しですが鎖や梯子(下山時)がかかっています。
乳首の名の通り山頂はとても狭くて、登るのは長蛇の列、山頂でゆっくりしていると
迷惑なので、写真を撮ったらすぐに下山しました。
乳首山の下で、軽い昼食を取り、登ってきた道を、今度は下りました。
登山初めの麓では晴れていた空が、ほとんど雲に覆われています。
「今日はほんとうの空が見えないね」
俳句に凝っている一人がつぶやきました。
高村光太郎「智恵子抄」の詩ですね。
‘
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、切っても切れないむかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしはうすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。
(『智恵子抄』より引用)
(出典:『智恵子抄』有名な5つの詩を解説!光太郎が智恵子に捧げた、愛のすべて | ホンシェルジュ (honcierge.jp))
ロープウェイ山頂駅まで降りてきて、近くの薬師岳で写真を撮り、そのままロープウェイを使わずに登山道を行くことにしました。
スキーのゲレンデ沿いだから、たいしたことは無いだろうと思ったのが、大間違い。
山道を舐めてはいけません。
下りは普通の登山道なのですが、どうやら前日位に雨が降ったらしく、ドロドロかつ
滑りまくりで、歩くのが大変な道でした。
私はハイキング気分で、トレランシューズを履いていましたが、下山したら新しく買った靴は泥まみれ。
同行のメンバーの2人は、滑って尻もちをついていました。
まあ、怪我無しで、無事に降りてきてよかった、よかった。笑
駐車場でヤリスに乗り込んで、幕川温泉水戸屋旅館を目指します。
この旅館は、自ら「秘湯」と名乗るだけあって、ハイウェイから2キロほど、クネクネ道を
車で走らねばなりません。
冬季は積雪のため11月中旬からゴールデンウィークまで休業しています。
温泉は、白濁とグリーンの褐色。
2種類の源泉かけ流しの温泉を持っていて、お湯に浸かると白っぽい湯の花が身体を取り囲みます。
途中、崖崩れを修復した箇所が幾つかあり、ますます秘湯へ行く気分になりました。
旅館へ着いたら午後4時前。
夕食まで2時間もあります。
「せっかく来たから、3つある温泉を制覇しよう」
ちなみに3つの温泉の内、2つは混浴です。
初めに、2階の展望露天風呂へ。
ホームページに書いてある通り、白濁した温めの温泉です。
温泉に浸かると、湯の花が満開 笑
神経痛に効果がありそうです ラッキー笑
30分ほど浸かっていましたが、利用者は男性だけ。
次に1階の内風呂へ。
ここは男女別風呂です。
しかし温い、温過ぎ!
外気が急に冷え込んできたので、なかなか温泉から出ることができません。
それでも午後5時前に湯船を出て、一旦部屋に戻りました。
温いお湯でも、長く浸かりすぎて、山登りの疲れもあって、湯あたり寸前。
少し休んで、渓流露天風呂「さえりの湯」へ。
この温泉は、いわゆる「野湯」ですね。混浴ですが、入ってきたのは男性のみ。
小さな小屋で着替えて、内風呂よりは、少し温度が高い温泉に浸かりました。
残念ながら紅葉には早かったのですが、手足を伸ばして、自然の中でゆったり気分を
堪能しました。
さて午後6時から夕食です。
魚はいわなで、食事は美味でした。
中でもご飯がおいしくて、3杯もおかわりしました。
ほかのみんなも「美味しい」と言って、とうとうお櫃が3つ目に 笑
「福島米は美味しいなあ」
ここで俳句好きが一句
「新米の 湯気の向こうに 母の顔」 遊亀(俳号)
いつも、田舎からお米を送ってくれる母親の顔を思い浮べて一句
私は「新米や」と詠嘆した方が良いと思うのですが、夏井いつき先生ではないので沈黙。笑
ビール・芋焼酎・地酒まで飲み尽くし、8時に部屋に戻って、
ラグビー「日本対アルゼンチン戦」を観ました。
翌朝は雨。それも11月下旬並みの冷たい雨。
気温は11度くらい。
当初の予定では、東吾妻山に昇るはずでしたが、全員一致で中止。
旅館でゆっくりして、10時ごろチェックアウト。
11時に旨い蕎麦屋で、新そばを食べて、予定を早めて福島駅から帰ることにしました。
朝食は7時半で、食べ終わったら8時。
10時まで、することがないので、再び展望露天風呂へ。
(渓流の野湯は、氷雨が降っていて寒いので行かず)
温泉に入ってみると、冷たい雨風が吹き曝し、湯船から外に出られず。
やることもないので、よもやま話。
そのうちに、一組のカップルが入浴。
女性は素裸でした。
少しすると、もう一組のカップル。
女性は、旅館貸し出しのワンピースを着ていました。
実は、私は湯船で女性2人と同じ側にいたので、彼女らの入浴時に首を回してチラ見した程度ですが、
湯船の向こう側にいた仲間は、話しながら目線だけが、何度も横に動いていました。
私は、仲間の目線が動くのを見て、「また見ているな」と楽しんでいましたね 笑
二組目のカップルが出た後に、「風呂はやっぱり裸で入らなあかん。混浴は日本の文化や」
目線を動かしていた仲間がつぶやきました 笑
結局、1時間以上、温泉に浸かりました。
ちょうど出発に時間になったので、旅館を出て、「裁ちそば 紅葉亭」へ出発。
11時前につくと、既に並んでいる人が。さすが人気の蕎麦屋です。
入口に猫がいたので、蕎麦が出来上がるのを待ちながら、ペット談義。
我が家の猫が8月に亡くなった話をすると、俳句好きが、3年前に九十九里浜で出会った
保護犬を飼っていて、毎晩一緒に寝て、溺愛している話を聞かせてくれました。
「虫の音に 小首傾げし 我が仔かな」 遊亀(俳号)
次回の句会に出すそうです。
山登りのあと、思う存分温泉に浸かり、うまい蕎麦を食べたら、あとは帰るだけです。
昼頃に福島駅に到着し、レンタカーを返却して、(寒かったので)カフェでホットコーヒーを飲んで、新幹線つばさに乗り込みました。
(俳句好きは、ジョッキで生ビール飲んで、から揚げを食べていました。
胃袋はどうなっているのでしょうね? 笑)
午後3時に東京駅で解散し、私はそのまま東海道新幹線に乗り、新大阪経由で奈良へ。
来年7月は、奥穂高に登る予定らしいので、その時にまた再会できれば良いですね。
夕食に間に合ったので、自宅で、ぶりの照り焼きと肉じゃがを食べて、熱めの風呂に入って
午後9時半に就寝。
のんびりかつ充実した、楽しい週末旅行でした。
企画してくれた幹事さん、運転を引き受けてくれた方、俳句で楽しませてくれた方、
みなさん、大変お世話になり、ありがとうございました。