9月5日付の日本経済新聞電子版で、中国の習近平主席がG20を欠席するという記事が
掲載されました。
習近平氏が北戴河会議で激怒 G20欠席、発端は長老の諫言 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
記事には、習近平主席が、自分が国家主席に就任以来、大事にしてきて欠かさず出席を
続けてきたG20を、何故今回欠席するかについての理由や背景を分析しています。
一言でいえば、現在の中国経済が、巨大な不動産バブル崩壊により絶不調なので、G20の場で、他国の新聞記者などから直球の質問を受けて、メンツを潰されないようにするため
ということでした。
実際のところは闇の中ですが、確かに現在の中国経済は不調のようです。
経済評論家やエコノミストの中には、ハッキリとバブルが崩壊して、かつての日本のように
これから20年くらいは、経済はジリジリと下降線をたどることを予言する人もいます。
経済指標をみると、世界の主だった国が、インフレとの戦いのために金利を上げているのに、
中国の物価指数は下がる傾向にあり、中国人民銀行は景気浮揚のために金利を下げています。
ここで経済が下降線を辿りだすと、中国共産党が国民に約束している「共同富裕」の達成が
危ぶまれるばかりか、中国の指導層の中には、下手をすると「共同貧困」に逆戻りするという恐怖感も存在するのかもしれません。
日本経済新聞の記事では、習近平主席のメンツを保つために、周囲が忖度(?)して、
手を尽くしているかのように書かれています。
この記事を見て、たまたま今朝読んだ、元アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンが
ウオーターゲート事件で弾劾されて、大統領を辞任し、ホワイトハウスを去る時の、職員に宛てたスピーチを思い出しました。
ニクソンは、そのスピーチの中で、職員への慈愛と思いやりにあふれたコメントを残しています。
しかしながら、大統領を含む政権自体が、盗聴、侵入、裁判、もみ消し、司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、特別検察官解任などに関わったという
前代未聞のスキャンダルの代償は重く、アメリカ合衆国始まって以来の、大統領の(病気以外での)任期中の辞任という事態に発展しました。
この結末を呼び込んだのは、執拗かつ細部にわたるジャーナリストの取材と、記者の取材した記事を掲載したメディア(新聞)の存在、そして、それに動かされた国民の反発でした。
最高権力者でも、民の力で交代が可能ということを、明確に示した事件です。
翻って、中国を見れば、失政ととられても仕方ない、経済の不調、戦狼外交による国際的な孤立などから、国のリーダーのメンツを守るために、周囲が習近平主席を怒らせないように
とりはからう様子は、民主主義国と独裁主義国の、国としてのレジリエンスの違いを象徴
するようにも思えます。
今後中国という国が、どのような方法で、どこに向かっていくのかは、大げさではなく
世界の関心事ですが、中華民国成立以前の歴代王朝の末期に繰り返されたような、醜い政争と大きな混迷を招く事態は、世界第二位のGDP大国としては、絶対に回避して欲しいところですね。