7月末の酷暑の中、南アルプスの北岳(標高3193メートル)に、友達3名と登ってきました。
北岳は、富士山に次いで日本で2番目に高い山です。
「南アルプスの盟主」とも呼ばれ、槍ヶ岳、穂高岳、剣岳などと並んで、登山者に人気の山。
実際に登った日(7月29日土曜日)も、午前6時のスタートから、たくさんの登山者が
連なるようにして、山道を登っていきました。
この週末の天気は、平地では全国的に35度超えの暑さ。
山はさすがに、多少は涼しいだろうと期待しましたが、チェインのように続く登山者のほとんどが、重い荷物と暑さにやられ、「暑い!」か「きつい!」というフレーズを繰り返しながら、所々で休憩しつつ、延々と登っていきました。
我々は、まず金曜日の午前12時新宿駅発の特急「あずさ21号」に乗って、甲府駅に向かいました。
甲府駅前で武田信玄公を横に見て、公衆トイレから出たところに、広河原行きのバス停があります。
午後2時発のバスに乗り込んで、いざ登山に向かいました。
普通の登山者は、このまま広河原まで行って、前泊して早朝に登山にかかるのですが、
「安全第一、楽しみ第一」主義の我々は、途中の芦安温泉で下車して、「岩園館」に一泊しました。
ここでの楽しみは、「温泉かけ流し露天風呂」です。笑
広い露天風呂は貸し切りで、熱い湯船とぬるい湯船に交互に浸かりながら、昨年秋の尾瀬・至仏山への登山旅行以来の近況話に、花を咲かせました。
最も変化が大きかったのは、昨秋に長年勤めた会社員生活に終止符を打って、ほっとして
退職したその日に、久方ぶりに関西の母親宅を訪ねたら、お母さんが倒れていて、突然に
介護生活が始まった友人です。
物理的にはもちろん、精神的にも、何の準備も予測もしていなかったときに始まった
介護生活は、かれこれ9か月続いているそうです。
東京に住む彼と、関西(といってもやや遠方)に住むお姉さんが、交互に面倒を見ている
そうですが、要介護4の母親を、やや高齢の姉弟2人が、お母さんの自宅まで、遠方からの通いで面倒を見るのは、ぼちぼち限界みたいです。
多少とも介護経験のある我々3人は、「早めに施設に入れた方が良いと思うよ」と言いますが、そこはまさに「介護あるある」で、お母さんは施設行きを、かなり嫌がっているそうです。
「介護が長引いて、登山のトレーニングは、週一回のジム通いが精一杯やった」
「自分にとっては、この山行が介護生活の息抜きなので、姉と喧嘩しながらやってきた。
迷惑かけるかもしれんが、宜しく頼む」
お風呂の後は、お決まりの宴会です。
その前の待ち時間に、ロビーでビール。
用意ができたら、豪華版の夕食を、久しぶりにお腹一杯食べ、またビール。笑
(ホントに明日登山するのやろか?)と思うような展開ですね。笑
午前4時半に旅館を出て、乗り合いタクシーで広河原登山口まで。
午前6時に出発です。
沢山の登山者が一斉に山道に入っていきました。
4人とも、事前にYouTubeで予習していたので、初めから急登なのは、頭ではわかっていましたが、実際に登りだすと、キツイ山道の連続で、4人は前の2人、真ん中の私、そして
介護生活中の一人に分断されました。
最初の待ち合わせポイントは、白根御池小屋です。
私は、広河原登山口から2時間少しで到着。
最初の二人は、30分前にすでに到着していて、待っていてくれました。
ここで水分や行動食を補給して、最後の友人を待ちますが、なかなか現れません。
「介護疲れかな?」
「トレーニング不足って言っていたからな」
30分くらいして、ようやく姿を現したので、少し休んで出発。
ここからは、「草すべり」の急登です。
急な坂の両側には、きれいな高山植物が花盛りでした。
足を休める間に、何枚か写真を撮りましたが、名前はわかりません。
私は「花よりビール」ですからね 笑
白根御池小屋から、暑い、しんどいと言いながら、(周囲の登山者も同じことを言っていましたけど)なが~い草すべりを抜け、北岳肩の小屋へ向かいました。
途中で、何人もの男女のトレイルランナーに会いました。
1日で山頂まで往復するか、縦走するのでしょうね。
元気やなー
そういえば、外国人登山者にもたくさん会いましたね。
日本の山は、ブームなのかな?
2時間少しで、肩の小屋に到着。
途中の空や稜線、山の景色が素晴らしくて、何枚も写真を撮りました。
肩の小屋では、先発の二人が待っていてくれました。
「チェックインは?お昼ご飯は?」
自分勝手な私 笑
「まだや。4人そろってから食事とビールにしようや」
仲間思いの友人たち。
1時間超待ちましたが、介護友人は現れません。
心配になった3人は、少し逆走して探しに行くと、稜線の向こうから友人が姿を現しました。
「お疲れー」
「待たせてスマン。キツかったから、急がずに景色を見ながら、ゆっくり来たんや」
さて、待ちに待ったビールで乾杯です。
北岳は、どうやら「おやじギャグ」が好きな人がいるらしく、あちこちに
「北岳に来ただけ!」の文字が書いてあります。
我々おやじ4人組は、さっそく記念写真を撮って遊びます。
1000円の生ビールの後は、800円の缶ビール。そのあとは檸檬堂サワー。
「さすがにもうええやろ。お腹の中がチャポチャポや」
リーダーの人徳(?)で、うまく個室が取れたので、午後5時の夕食まで、皆さんお昼寝。
簡単な山の夕食の後は、外のベンチで夕焼け鑑賞。
雲海とアルプスの山々と、遠くの富士山のシルエットを堪能しました。
あとは寝るだけ。
翌朝の朝食は午前5時。
食べるとすぐに、193メートル上の頂上を目指してゴー!
昨日遅れた友人は、元気を取りもどしたようです。
途中で、山頂と思った岩山は偽ピークで、山頂はもっと向こう。笑
道を間違えながら、ようやく登頂!
360度の大パノラマのなかに、雲海に浮かぶ霊峰富士山が輝いていました。
「うわー、素晴らしい!」
普段は、高齢になり感動が薄れていたはずの4人が、思わず声を上げました。
「しんどかったけど、来てよかったな!」
来た道を、肩の小屋まで戻って、荷物を背負って、下山です。
はじめは一緒にスタートとしましたが、昨日と同じく2:1:1に分かれました。
昨日登ってきた道を、降りていくのですが、昨日来の熱波のせいか、地面が乾燥してカチカチになり、その上に浮石が沢山あって、油断すると滑って転倒しそうです。
急坂の草すべりを、転ばないように慎重に降りて、2時間で白根御池小屋まで戻ってきました。
先発の2人は、座って待っていました。
ここで最後尾の友人を待って、無事を確認してから、広河原を目指して出発。
私は、普段履きなれない登山靴で、ぼつぼつ下っているので、極めてゆっくりです。
途中で、岩園館に泊まっていた韓国人グループに遭遇。
「アンニョハセヨ」
「カムサハムニダ」などの言葉を飛び交わせながら、すれ違いました。
(韓国でも、日本の山ブームなのかな?)
白根御池小屋から2時間かけて、11時45分に広河原に到着。
先発の二人は、12時のバスに乗りたいと言っていたのですが、
(無理やろな)と思っていました。
遅れていた友達は12時半に到着。
「ビール飲んで待っていた。14時のバスにする」ということで、最後の宴会開始。
昨年リニューアルした広河原山荘のロビーで、生ビール、白ワイン(!)昼ごはん
で打ち上げ。
そのあと、800円でシャワー券を買って、10分間のシャワーを浴びてサッパリしました。
そこで時刻は午後1時半。
バス待ちの整列が始まっていました。
(場所取りは、ちゃっかり早めにザックを置いておいたので、セーフ)
甲府駅までバスで戻り、再び特急「あずさ42号」に乗って、午後6時に新宿着。
品川まで山手線で移動して、午後7時の新幹線で新大阪まで、そのあと電車を乗り継いで
当日中に無事に帰宅しました。
終わってみれば、4人とも無事に完歩して、大変楽しい「山と温泉の旅」
新宿で別れの言葉は、「秋に福島で会おう!」でした。
次回もやっぱり「山と温泉の旅」になりそうです。