外山滋比古さんの本は、文庫本で何冊か読んだのですが、何度かの本の整理のあとに
最後まで残っているのが、「人生二毛作のすすめ」です。
この本は、2010年に書かれています。
私が60歳になったのが2014年ですので、おそらく定年が視野に入ってきて、定年後の
人生をどのように送ろうかと、考え悩んでいるときに出会った一冊なのでしょう。
今から思えば、定年前後の数年間は、定年後の人生のヒントを探して、いろいろなことを
試している期間でした。
定年後の学習と仕事の基礎を作るため、放送大学大学院の入学試験にチェレンジ。
妻が新聞で見つけた記事を基に、トレイルランツアーを見つけて申し込み。
東京にいるときに、たまたま見つけた「定年男子・定年女子」セミナーに参加。
定年後再雇用2年目の終わりに、FP試験を受けて、開業届を提出。
小説を2冊書いて、出版。
50歳で、最初の職場を出たころから、ぼんやり考えていた、定年後の人生設計を
58歳くらいから、62歳くらいまでに、順番に実行に移してみて、残ったものを
やり続けるというプランでした。
結果は、トレイルランニングは、69歳の今も、なんとか継続。
放送大学は、結局、大学院4年(国際政治と情報学の2回修了)+学部1年の5年間在籍。
定年男子セミナーで出会った大江英樹さんご夫婦とは、今もお付き合い頂いている。
(大江さんの人脈に乗っかって、友人知人が大幅に増えて、FP活動と遊びにプラス)
FP相談は、現在も細々と継続中。ボランティアでFP勉強会のお手伝いも。
小説は、自分に才能が無いことが分かった。(諦めがついてよかった)
オマケとしては、放送大学で思い出した英語と、銀行在籍時の海外経験と、大学院で学習した
情報学の知識が63歳から勤務したバイオ系のスタートアップ企業で役に立ったこと。
さらに、大阪府市が始めた国際金融都市大阪プロジェクトで、金融機関の経験を評価されて、
フィンテックなど海外金融企業向けの相談員としての勤務に繋がる。
こうして考えてみると、50歳のころに思ったよりも、現実は上手く行ったなあ・・と
思っているのですが、やはり良かったと思えるのは、60歳前後の数年間を、定年後生活の
準備に使ったことですね。
6月20日の日本経済新聞電子版朝刊の「大機小機」コラムに、「定年延長はシニアのため?」
と題したコラムが掲載されました。
コラムの一部を抜粋すると、
「(定年延長は)一見、シニア層にとって良いことのように見えるが、妙なところで弊害が起きていると聞く。以前は60歳の定年を機に、「田舎に帰って農業をやろう」という人が少なからずいた。それがすっかり減ってしまい、農地の後継ぎに影響が出ているとのこと。」
続いて
「個人差があることとはいえ、60代前半の5年間は概して貴重である。60歳ならば「生まれて初めてトラクターの運転を覚える」といった挑戦がまだ可能だが、65歳になると「俺ももういいか」と消極的になりやすい。本気で「人生二毛作」を考えるなら、還暦くらいをめどに転身を図る方が合理的だが、「今の仕事をあと5年続けていい」と言われると、その方が魅力的に響くらしい。」
このコラムは、そのあとに、60歳から65歳までの「人生二毛作」の仕込み時期を
漫然と会社で過ごすのはもったいないと続けています。
日経のコラムを読んでみて、定年前後の数年間に、自分が信じた通りに時間を過ごし、
現在まで後悔が無い人生を送れていることを振り返り、あのとき決心して良かったなと思いますね。