6月17日、FPの仕事で、お客様と面談しました。
このお客様は、15日にオフィスに2回電話してこられて、「折り返しの電話を頼んだのに
返事が無い」と言っていたお客様でした。
その日は、バイトの後、3か月ぶりに大阪城公園練習会に参加して、帰宅したら
午後11時前だったので、お客様に電話ができませんでした。
妻は、「同じ日に、2回電話してくる人って珍しいね。怖い人かも、大丈夫?」
と心配していました。
翌朝、午前9時に電話しましたが、電話に出ずで、メッセージを残したところ、
昼休みに話ができました。
お客様「来月2000万円が入るので、運用したい。アドバイス欲しい」
私は、いろいろ聞こうとしましたが、姓をAと名乗るだけで、個人の属性は一切不明、
どうやら50代半ばの会社員らしいことは分かりましたが、それだけ。
私「面談は早い方が良いですか?明日にしますか?」
お客様「分かった。明日午後1時にそちらのオフィスに行く」
さて、突然降って湧いた、この2000万円問題への回答を、翌日までにどのように
準備するか?
無い知恵を絞って考えました。
定番の考え方では、まずアセット・ロケーションの観点から、運用の最大のコストである
税金がかからないところに、資金を置くことが重要です。
つまり、来年から始まる新NISAを基本に投資方針を決めます。
次に、アセット・アロケーションの観点から、世界株式への分散投資を勧めます。
しかし、年間の運用額は、2000万円には程遠いので、投資をしない余剰資金は、
個人向け国債変動10年で運用し、順次、投資信託に振り返る・・というところまで考えて面談に臨みました。
土曜日の午後1時に面談室で待っていると、お客様が来られました。
やせ型でスポーツ刈り、ラフな服装の方でした。
まず、一晩考えた運用プランをご説明すると、
「iDeCoとNISAはすでにやっている。2000万円は一括で運用したい。
今後10年ほどは仕事に集中したいから、それほど儲からなくてもいいので、
その間はお金のことは忘れていたい」
(初めから言ってよ~)
と思いながら、急いで体制の立て直しを図りました。
「一括で運用するならば、株式のような元本リスクのあるものは向きませんね。
個人向け国債変動10年なら、定期預金よりは利率が良くて、購入後1年経ったら
元本保証で売却可能ですが」
「個人年金保険は?」
「名前に年金についているので、一見年金のように見えます。しかし、ほとんどの商品の
実体は保険です。
保険料が所得控除に使えるものもありますが、一般論ですが、商品自体に保険会社の利益が、かなり含まれているので、お客様には、もっとシンプルなものが良いと思います・・
たとえば、同じ債券でも、今なら米国債は金利が高いですよ。為替リスクはありますけど、
お仕事で為替リスクを扱っていますか?」
「うん、仕事で多少関係ある」
「ご存知のように、米国政府の債務上限問題が解決したので、これから年末にかけて
約1.5兆ドルの米国債が発行されます。利率を見ながら10年程度の債券の購入を
検討されては如何ですか?」
「全額か?」
「為替リスクがあるので、半分の1000万円くらいにして、残りは、先ほど
お話しした個人向け国債変動10年と、普通預金に分けて置いておくのは如何ですか?
ちなみに、商品などについては、ご自身が納得の上で、投資してくださいね」
「う~ん、わかった。考えてみる」
ここで1時間になったので、面談終了。
緊張が解けました 笑
お客様のお帰りです!と受付に言おうと思ったら、私のザックを見て、
「時計はGarminでザックはSalomonか。トレランやるの?」
「やりますよ。ことしはKobo Trail出ました」
「それは本格的やな。俺も週末の半分くらいは山に行くよ。ほら!」
と見せてくれたのは、ワラーチ。(メキシコ先住民発祥の走れるサンダル)
つまり、はだしでサンダルはいて、山に行くのです。
「この開放感がええんや!」とご満悦。笑
(なんだ、同じ趣味の人か~)
一気に気が抜けて、お互いに笑顔になって、それからお客様をお見送りしました。
結局、何処のどなたかは、最後まで分からずじまい。
果たして、このお客様の2000万円問題が、上手く解決できたかは分かりませんが、
おかげさまで無事に帰宅できました。
あ、相談料は頂きましたよ 笑