出口治明著「哲学と宗教全史」を読みました。
西洋と東洋の宗教と哲学の歴史と、それぞれの簡単な内容が解説されていて、
とてもコンパクトに纏まっていますね。
実は、高校生の時に河出書房刊「世界の大思想」全29巻を買って、
プラトン・アリストテレスから始まる哲学書を読もうとしたのですが、
全く歯が立たず、書物は書架に「積読」状態でした。
それでも、大学時代には、マルクスやレーニンの著作を引っ張り出して読み、
最近はカントやヘーゲルの著作を眺めたりしていましたが、
どれも通読するに至らず仕舞でした。
宗教については、大学院で国際政治を専攻しているときに、
ゼミの指導教官が中東のご専門で、ゼミ生の議論も中東の政治が中心でした。
中東の政治となると、対米関係とイスラム教の理解が不可欠です。
ゼミ生が、イスラム教の基礎知識をベースとするアラブ世界の政治情勢分析について、
積極的に発言するのを無言で聞きながら、
宗教について、いつか勉強しようと思いつつ、時間だけが過ぎていました。(苦笑)
出口さんは、哲学と宗教の全史をコンパクトにまとめることを優先されたので、
個別の哲学や宗教については、深く言及されていませんが、初学者にとっては
初めに全体像をつかむことができて、大変有益な書物です。
私も、出口さんの本を手元に置いて、老後の楽しみに取っておいた(?)、
ゆっくりと哲学書を読む生活を送ろうかなと思い始めています。
(あまり自信はありませんが 笑)
出口さんは、この本の初めに、人間が抱いた2つの疑問を列記されています。
「世界はどうしてできたのか、また世界は何でできているのか?」
「人間はどこからきて、どこへ行くのか、何のために生きているのか?」
この疑問に対して、最初に回答していたのが宗教、次が哲学、最後が自然科学です。
最近の自然科学の進歩から考えると、上記の2つの疑問は、自然科学がすべてを
解決してくれて、もはや宗教や哲学の出番は無さそうにも思えます。
出口さんは、現代までの自然科学の研究成果と、今後の発展を肯定しながらも、
宇宙や人間の脳の働き等について、わかっていないことが、まだまだ沢山あることから、
宗教や哲学が人の世に生き残っていくのではないかと言われています。
この本を読んだ後、上記のような感想を、巻末のメールアドレスに送ったところ、
立命館太平洋大学事務局から下記内容の返信がありました。
出口学長は、昨年1月から病気療養中だったが、今年1月から校務に一部復帰。
しかし主要な会議に、東京からオンラインで出席する程度で、スムーズな発言や
長時間の執務は困難な状況。
したがって、メールへの返信は控えさせていただく。
(原文はもっと丁寧です)
病気療養に努めていただき、一日も早いご回復をお祈りいたします。