• 定年男子のランとマネー

世の中に「浪費家」と「節約家」がいるとして

夫婦ともに「浪費家」ならばお金は貯まりません。

夫婦ともに「節約家」ならば、お金は貯まります。

では夫婦の片方が「浪費家」でもう片方が「節約家」ならどうでしょうか?

お互いに若いころや、バリバリの現役時代を過ぎて、定年前後の年代になると

片方のお金の使い方について、もう片方は「諦める」「喧嘩する」「離婚する」・・・

といったフレーズが浮かびます。

実は一言で「浪費」といっても、本人はなかなか自覚しにくいものです。

例えば若いころから車好きで車検ごとに新車に乗り換えていた。

かばんやアクセサリーが好きでクローゼットはブランドで溢れている。

周囲から見れば立派な浪費ですが、自分では全くそうは思わない。

何故自覚しにくいかというと、現役時代は「浪費」を上回る「収入」があったからです。

会社員ならば信用があるので借り入れもしやすかったでしょう。

しかし現役時代が終わりに近づき、役職定年や継続雇用になって収入が大幅に下がると

それまでの「趣味の楽しみ出費」は一気に「浪費」に変わります。

これまで「車好き」を夫の趣味として理解していた妻も、収入が減って生活費が苦しくなると、夫の「車趣味」が浪費に見えてきます。

妻がブランド品のバッグをもって、機嫌よく外出するのを微笑ましく観ていた夫は、定年を迎えると同じ光景が無駄な出費に見えだすのです。

夫も妻も、生活環境が大幅に変わっていることを頭では理解しながらも、これまでの生活感覚を変えることができずに、配偶者からの非難するような視線を感じると相手に自分の趣味を制限されたと不快になるのです。

夫婦のどちらかが自分たちの生活環境の大変化を直視して、減少した収入の範囲で生活することができれば、家計収支の改善が期待できます。

そういう意味では、もしかしたらコロナ禍はある意味で考え方を大きく変えるチャンスになるかもしれませんね。

これまで普通の「消費」と思っていたものでも、コロナの禍中にいると「浪費」に見えることもあるでしょう。

定年前夫婦の準備として、お互いの「お金の価値観」を再確認することが第一歩です。

しかし「貯まらない」家計には別の理由が存在することもあります。

一つは夫婦の親の介護費用と介護時間の負担が嵩むこと。

もう一つは子供たちへの支援費用を掛け過ぎることです。

親の介護に関しての鉄則は「親の介護は親のお金で賄う」です。

もう一つは、介護保険を活用して「親の介護はできるだけプロに任せる」

そのために必要なお金を用意するには、まず親の資産がどれくらいあるかを把握しておく必要があります。

「そんなことは聞けないよ!」

「親やほかの兄弟からお金を狙っているのかと疑われる!」

確かにそのリスクはあります。

しかし、そのリスクをそのままにしておくと、あとでもっと大きなリスクに直面します。

できれば早い時期に、「介護が必要になったときのことはどう考えているの?」くらいは聞いておいたほうがよいでしょうね。

また子供への支援の基本方針は「20歳になるまで、または学生時代まで」でしょう。

子供の結婚資金や住居資金を援助することや、孫の教育資金を賄ってあげることを

家計の実力以上にやりすぎると、自分たちの老後資金が危うくなります。

どうしても援助したい、または援助してほしいと言われたならば、限度を決めておくべきでしょう。

結局のところ「貯まらない」家計の解決方法は、自分たちの家計力(金融資産・人的資産)の現実を数字で把握して、それをもとに夫婦で話し合って、いろいろな支出が収入を上回らないよう、そしてできるだけ借金をしないように工夫するしかないのです。

夫婦自身で自分たちの家計力を計算するのが難しければ、フィナンシャルプランナーに

相談すれば、ライフプランをもとにして計算してくれます。

計算の結果をもとにして、夫婦で老後の人生の過ごし方を考えることができれば

それが充実した生活の第一歩になるのです。


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