FIREとは
Financial→お金から
Independent→独立して
Retire→退職する
Early→早期に
の頭文字をとった言葉で、昔から一部の人々のあこがれでした。
投機や土地転がしで一発当てて大金持ちになろう・・というのはバブルのころに沢山の人が目指して、多くの人が奈落の底に落ちていきました。
バブル崩壊以降、地道に生きるのが一番賢い・・という雰囲気で生きてきた人が多かったのに、ここにきてFIREという、いかにも新しい言葉としてもてはやされるのは、最近の株式市場の急上昇の影響によって悲惨な過去を忘れたのか、それとも一発当てて楽をしたいというのが人の本質的な願望なのか・・でしょうね。
ところで私が資産形成アドバイザーとして会員になっている組織「みんなのお金のアドバザー協会」の略称はFIWAといいます。
FIWAとは
Fiduciary→相談者に忠実、お客様ファースト、自分ラースト
Independent→独立して、金融商品の販売に関わらない
Wealth→富、単に目先のお金儲けではなく、物心両面の豊かさを目指す
Advisor→プロとしての経験、知識に高い倫理観をもつ専業のアドバイザー
の頭文字をとった名称です。
FIWAの活動目的は、生活者が経済的束縛から解放され豊かで幸せな人生を実現できるための支援を行うことです。
活動目的だけを読めば、FIWAの活動の中にFIREを目指す生活者の支援も活動の範囲に入ってきそうですが、そうではありません。
FIWAは「物心両面の富」を求める生活者の支援を目的としているのですが、
FIREは「富の蓄積」ではなく、単に「お金を貯めること」を目的としているところが
根本的に異なるのです。
「富とは何か?」については、アダム・スミス以来、経済学者が議論してきましたが
通常は富とは「価値あるすべてのもの」という、なんとも漠然としたものとして定義されます。(Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C 2021/4/17閲覧)
つまり金銀や貨幣は確かに富の一部ですが、富にはもっと多くのもの、例えば土地や工場など実物資産も含まれるということになります。
そして、そこには実物資産の上に築かれた「心の豊かさ」も含まれてよいと思います。
FIREは富全体を求めずに、富のほんの一部にしか過ぎない金融資産を短期間で蓄積することを目標にするものと理解すれば、FIWAが活動の目的とする「生活者の富の蓄積による経済的束縛からの自由」とは全く異なることが分かります。
お金だけではなく、実物資産が大きく成長するには時間が必要です。
同じように心が成長して豊かになるにも時間が必要です。
そして富は蓄積するだけではなく、ほかの人と分かち合って使うことも重要な要素になります。
よく言われることですが、「お金」だけを目的に生きていると、利己主義や疑心暗鬼に陥りやすくなります。イギリスの小説家ディケンズの作品「クリスマス・キャロル」に出てくるスクルージのような生活といったほうが分かりやすいでしょう。
他人を信用せず、他人から信じられない生活は、おそらくストレスが溜まります。
心豊かどころか、たぶん健康に悪いですね。
生活でも仕事でも、仲間との信頼関係を保ってお互いを大切かつ親切に接して過ごすほうが、楽だし楽しいですね。
そのような人々は、自分たちの暮らしを守るために仲間意識を高めて、ほかの人の参加に敏感になりがちです。
たぶんスクルージのような人は、仲間に入れてもらえないでしょう。
このように考えると、FIREを達成して早く引退できても、心の豊かさが伴っていなければ疑心暗鬼で孤独な、とても長い引退生活が待っていそうな気がします。
もちろん心豊かにFIREを達成でいれば最高です。
しかしそれには抜きんでた才能か、宝くじに当たるような強い運が必要だと思います。
現在FIREにあこがれて、早い引退生活を夢見ている人が、幸運にもFIREを達成したあと、心の豊かさも併せ持って人と分かち合う人生を送ってほしいですね。