経済コラムニストの大江英樹さんの最新のご著書「わかりやすいにもホドがある 今さら人に聞けない 投資とお金のはなし」を読んでみました。
長い名前の本ですが、大江さんらしく、まさに「看板に偽りなし!」という印象のわかりやすい本でしたね。
章立てで説明すると、お金の基礎知識に1章、「貯める」ことに1章、「増やす」ことに3章、
「備える」ことに1章、「使う」ことに1章を割いて、それぞれとても分かりやすく説明されています。
大江さんの著書やコラムを読むと、いつもこの「分かりやすさ」に脱帽します。
この本は30代~40代の読者を想定して執筆されたようです。
ご丁寧に「若い方に話すときの参考にしてください」とのメールを頂きました。
僕の年代になると、「貯める」「増やす」はすでに手遅れなのですが、まだ「備える」と
「使う」には有用なアドバイスが含まれていました。
「備える」の章には、主に保険(生命保険や医療保険)と社会保険(主に公的年金保険)について書かれています。
大江さんは生命保険や医療保険などの民間保険よりも、国家が保障する社会保険、特に公的年金保険への加入を優先的に検討するべきだと述べておられます。
たまたまですが、6月28日付の東洋経済オンラインにFPの山中伸枝さんが個人事業主の社会保険加入への理解の重要性について書いておられます。
https://toyokeizai.net/articles/-/358520
僕も社会保険を優先的に勉強して加入することには全く同意見なのですが、民間保険でも、損害保険(火災保険、地震保険、傷害保険、自動車保険など)は正しく理解したうえで入っておいたほうが良いと考えています。
特に傷害保険は忘れやすいのですが、とても重要です。
たとえば、趣味のランニングをしていて塀沿いを走っていると、十字路に差し掛かった時に、突然死角から自転車が飛び出してくることがあります。
相手が小中学生のこともあれば、高齢者のこともありますが、こちらもある程度スピードが出ているので止まりにくくて、もしもぶつかったら片方か両方が大けがをする危険があります。
一般にこのような事故をカバーする保険の掛金はあまり高くないので、まだ加入していない人は是非検討してほしいですね。
最後の「使う」章には、クレジットカードの使い方やポイントについて、実践的なことが書かれているのですが、僕の関心は「寄付」について書かれたところです。
個人的な話になりますが、東日本大震災が発生した日に、たまたま仕事で東京に居ました。その夜はホテルを予約していたので、難民にならずに済んだのですが、ホテルの窓から続々と自宅に向かって歩いていく大勢のビジネスパーソンを見たのは強烈な記憶として残っています。
翌日、無事に関西に帰って、自分にも何かできることはないかと考え、趣味のランニングに関連付けて、毎月走った距離だけ医療関係者に寄付をすることにしました。
1キロ100円に設定したので、100キロ走ったら1万円です。
自分のランニング継続のモチベーションにもなりましたので、始めて見てよかったですね。
その後、定年退職して一時期定期収入がなくなったので、ランニングとは切り離して、金額を減らして毎月一定額を寄付するようにしています。
今回の新型コロナ禍を経験してみて、自分が寄付したお金が、もしかしたら少しくらい、どこかでお役に立っているかもしれないと思うと嬉しくなってきました。
昔から「情けは人のためならず」と言いますが、まさに「寄付は他人のためにやるものではなく、自分の満足のために行うものだ」ということを実感しました。
実はこの本は大江さんから贈って頂いたのですが、冒頭のメールにあった「若い人に話すときの参考にしてください」は大江さんの「利他の心」の現れだと思いますし、僕も大江さんのご厚意を受けて、自分の知識や経験がお役に立つような機会を持ちたいと願っています。