<ポイント2>
アメリカ合衆国の北部と南部
アメリカ大陸は広大で、北部と南部では気候もかなり異なっています。
北部の冬は寒くて耕作に不向きですが商業や産業が発展しやすい利点があります。
南部はたばこ栽培などには適していますが、夏は湿気と暑さで(疫病の発生など)体力の弱いものは死の危険があります。
北部入植者と南部入植者について少し比較してみましょう。
土地の分配方法が北部と南部では異なっていた
北部⇒集団に分配したので、組織が形成されやすかった
⇒社会を形成し、産業資本が発展
南部⇒個人に分配したので、家長が使用人を含めたファミリーを支配した
⇒大地主が分散して居住し、家族社会を形成
⇒産業資本が形成されず、借金苦が多い
たばこ栽培
北部⇒寒冷で栽培に向かず、代わりの輸出用作物もなかった
⇒その代わりに加工産品による輸出入の貿易産業自体は発展
(加工産品には南部産の綿花を加工した商品も含まれた)
⇒保護関税によって国内産業育成を保護したい
南部⇒栽培に成功してヨーロッパへ輸出
⇒しかしながら経済がたばこの国際価格に影響されるようになった
⇒関税廃止による自由貿易で農民が利益を増やしたい
そしてこんなアンバランスが生まれます。
北部の経済発展に対する南部の依存度の高まり
南部の綿花は北部の繊維産業で製品化される
⇒南部の経済的・政治的な自立の喪失への不安が高まった
南部の自尊心を刺激
なんとなく、商都大阪や首都京都が、明治維新後にそれまでの地位を徐々に新興都市東京に奪われつつあるような焦燥感が感じられませんか?(笑)
この時代の南部の様子を描いたのがマーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」ですね。ビビアン・リーとクラーク・ゲーブル主演で映画にもなりました。
ちなみに日本の明治維新は、アメリカの南北戦争のわずか7年後です。
このような事情があって、せっかくイギリスから独立したのに、なかなか一つの国としてまとまりきれなかったアメリカ合衆国が、とうとう悲惨な南北戦争を迎えるわけです。