1980年終わりから1981年初めのスペインの政治情勢は、極めて緊迫していた。
度重なるテロの恐怖とスアレスのテロへの穏健な対応への怒りが軍人たちの緊張度を極限にまで押し上げていた。
異常ともいえる状況を解決に導けるリーダーとして注目されたのが、23F事件の首謀者アルマダ将軍である。
アルマダは若き日のカルロスの軍事教官であり、その後王家の侍従長を17年務めた、
フランコ配下の軍人・貴族である。
メディアは国王の信頼厚く、軍部を纏められる人物としてアルマダをスアレスに替わる首相候補筆頭に上げた。
テヘロやミランスを使った武力行使を背景に、アルマダがカルロスに首班指名を迫った。
これに対し、カルロスは民主化推進という自身の裏の顔を、テレビでの演説を通じて国民に曝すことにより明確に拒否したことがクーデター事件の顛末である。
国王が貴族・軍人に依存するというスペイン王家の悪しき伝統を断ち切った瞬間であった。
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佳境ですね。