6月15日、落語を聴きに大阪まで出かけてきました。
出演は五代目桂米團治、七代目笑福亭松喬、桂ひろば、桂慶治朗でした。
当日は大入りの大盛況で落語の人気のほどが窺えました。
僕が落語を、直接聞くのは20年以上振りですね。
海外にいたときは、定期的に落語家が大使館など日本政府の主催するイベントにやって来て一席聴くことがありましたが、
20年前に帰国してからはサッカーやマラソンばかりやっていて、すっかりご無沙汰していました。
僕が若い頃は上方落語が全盛の時代で、笑福亭ならば松鶴、仁鶴、松之助など達者が揃っていて、
鶴瓶がアフロヘア―で「ヤングおーおー」に出演していたことを覚えています。
桂文枝(三枝)林家小染、桂春団治、そして大御所の桂米朝が昼夜を問わず活躍していました。
(明石家さんまは別枠でした。笑)
今回の落語会は、米朝の子供である桂米團治(小米朝)を中心に桂ひろば、桂慶治朗に客演の笑福亭松喬のラインアップでした。
たしか高校生のころに受験勉強をしていて、現代国語の問題に「小米のまくら」という一文に出会った記憶があります。
小米とは上方落語の天才、桂枝雀のことで「緊張と緩和」を主題にした語り口は何度聞いても捧腹絶倒でした。
枝雀の噺は本編も面白いのですが、
なんといっても噺の切り口である「マクラ」が傑作だというのが現代国語の問題に出てきた文章の趣旨でした。
今回の落語会も「掴み」と言われる噺の切り口も楽しみにしていましたが、
若い噺家とベテランの噺家がそれぞれ工夫を凝らした「マクラ」で笑いをとって楽しませてくれました。
中でも松喬さんが「桂米朝一門にアウェーで入った笑福亭松喬です」と自己紹介されたあとに、
笑福亭松鶴、仁鶴、鶴光などの一門の昔話を「マクラ」に取り入れて語ってくれたのは懐かしかったですね。
「トリ」は桂米團治さんが珍しい噺を大熱演で語ってくれて終了しましたが、
そのまま高座に残って「締め」をしようということになって「米朝じめ」を教えてくれました。
(実父の米朝さんにそっくりでした。米朝さんの語り口も思い出しました)
でも米團治さんが「米朝じめ」を教えながら、教えられた通りにお客さんがやってみること自体、既に「お笑い」になっていました。(笑)
大熱演の噺の後にサービス精神を発揮して頂いて「軽い」笑いで客席との一体感を盛り上げてもらって満足して帰りました。
落語の「笑い」は、テレビに出ている「芸人さん」の派手な笑いと違って「じわじわ来る笑い」ですね。
芸人さんが「浅い笑い」ならば、落語家は「深い笑い」と言ってもいいかもしれません。
(どちらの価値が高いと言った意味ではありません)
最近は「浅い笑い」を聴く機会が多いので、もう少し「深い笑い」を楽しむ時間を作るのもいいかな?と思いながら家路につきました。