4月14日、大和八木SGの研修セミナーに参加しました。
題目は「貨幣の歴史から見る仮想通貨とその将来」で講師は大熊信行さん(FP事務所熊家代表)です。
引き続き大熊さんのお話を聞いて考えたことです。
大熊さんは東京の日銀の隣にある貨幣博物館に行って貨幣の歴史を調べてこられました。
日本で初めて貨幣が生まれたころは、現在の仮想通貨が生まれたのと同じような状況ではなかったかとの発想です。
面白い考えですね。
お話しを聞いて僕が考えたのは通貨主権についてです。
大熊さんの調べでは、日本に初めて貨幣が誕生したのは西暦683年の富本銭とのことです。
それ以前に無文銀銭というものがあったそうですが、年代は不明です。
708年には学校で習った和同開珎が発行されます。
そのあとも国家が貨幣の発行を続けて、958年の乾元大宝まで続きます。
歴史と照らし合わせてみると、683年は天武天皇の頃で、そのあと持統天皇
など律令国家を形成した天皇が続きます。
現実的には国家の事業や役人の給与支払いのために貨幣が鋳造されたのですが、背景には中央集権化が進んだことがあると思います。
貨幣の鋳造は乾元大宝のあとは1601年の慶長金銀まで飛んでいるようです。
その間に何があったというと、平安時代になって武士が台頭し、保元・平治の乱を経て平清盛が台頭し、
鎌倉幕府が成立して武士の時代になります。
京都の朝廷は存続していたので、いわゆる二元政治ですね。
これは想像ですが、通貨の発行権は国家を象徴するものですので、
関ヶ原の戦を経て徳川家康が権力を掌握して武士の中央政権を確立してから貨幣の鋳造が再開したのではないでしょうか?
同じようなことは幕末から明治維新にも起こっています。
多くの藩が(財政難もあって)藩札を発行して通貨は混乱したようです。
明治政府が日本銀行を設立するのは明治14年(1882年)で、
西南戦争の時に多くの不換紙幣が乱発されて激しいインフレが起こったことを収める狙いがあったと言われています。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/history/j01.htm/
ところが現在は、政治的には中央集権が確立して通貨の信用は守られています。
通貨主権は確立しているのに、何故仮想通貨が生まれ、使われようとしているのでしょうか?
大熊さんによれば、貨幣の物質的特性は4つあるそうです。
・耐久性⇒流通過程で破損しにくい。(紙幣は汚れると損券として日銀に回収)
・加工性⇒加工が容易
・非実用性⇒お米など、他の用途があれば貨幣として不適
・適度な希少性⇒みんなが欲しいと思う。
日本ではこのような貨幣や紙幣が沢山流通していますが、お隣の中国では急速にキャッシュレスが進んでいます。
つまり貨幣が物質でなくてもいいという意識に急激に変わってきているようです。
日本でもクレカの使用や各種ポイントに代表されるように、バーチャルマネー化が進んでいます。
(お金は通帳に印字されているだけのものだ、という人もいます。笑 )
仮想通貨もこの流れとすると、貨幣を物質として管理して主権を確立してきた国家はどのように考えるのでしょうか?
国家の中だけで通用する地域通貨的な規制をかけるのでしょうか?
そうすると、ブロックチェーン技術によって支えられた自由なオープン型仮想通貨はどうなるのでしょうか?
これは国際政治と経済学とITが混合した面白いテーマかもしれませんね。