• 定年男子のランとマネー

行動経済学

11月8日に大阪倶楽部で、京都大学の依田高典教授の「ココロの経済学 行動経済学から読み解く人間のふしぎ」の講演を聞いてきました。

行動経済学は、経済コラムニストの大江英樹さんが、人間の投資行動のもとになる要素として、よく言及されています。

大江さんは、例えば「今日の10万円と1年後の11万円ではどちらを取るか?」という心理が投資家の投資行動に与える影響などを分かりやすく話されます。

依田教授の話は、行動経済学を学問として捉えた内容なので、聞いている人も分かりにくくて寝ている方もおられました。

3つのコンセプト

ここでは、簡単に3つのコンセプトについて説明します。

ヒューリスティック>=人間の思考の癖についてです。

人間は論理性ではなく、もっともらしさ(典型性)で判断しがち
→「ひとは見た目で・・・」という感じですね

人間はココロに浮かぶイメージにとらわれがち
→○○流〇では、○○流転のほうが考えやすい

人間は初期情報に足を引っ張られがち
→富士山の高さは4000mより何メートル低いか?より3000mより何メートル高いか?のほうが低く答えがち

現実性バイアス
現在の10万円と1年後の11万円=現在の10万円を選ぶ
1年後の10万円と2年後の11万円=2年後を選ぶ
⇒人間の矛盾した行動=人間は「現在」を特に重視する傾向がある

確実性バイアス
確率80%の4万円と確率100%の3万円=多くが3万円を選ぶ
確率20%の4万円と確率25%の3万円=多くが4万円を選ぶ
⇒賞金から見た確率は同じ=人間は「100%」を特に重視する傾向

依田教授は、ノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授の紹介を兼ねて

ナッジ効果」についても簡単に触れていました。

ナッジは「肘でつつく」と言う意味で、行動経済学では「良い行動をとらせる」ということです。

例えば、人々に何かをさせたい場合に、希望者だけが何かをできるよりも、基本を全員参加にして

希望者だけが抜けられる形にしたほうが参加率が格段に高まります。

この効果を市場観測などに応用したのがセイラー教授の業績です。

(複雑な話を、極めて簡単に書いています)

 

フィールド実験

依田教授の話は、行動経済学を実地に応用したフィールド実験に移行します。

例として出されたのは、東日本大震災で東京電力の供給能力が一度に3分の2まで激減したときに、ピーク電力を抑えるのに何が有効だったか?という実験でした。

結論から言うと、政府の節電要請は初期は効果があったものの、消費者は慣れてしまって、継続的な効果は低かったのに対して、ピーク時の電力料金を段階的に上げていく方法では、初期効果も継続効果も見られたということです。

この時間に使うと電気代がとても上がる」という刷り込みは、危機が去っても消費者の脳裏に残ったということのようです。

このように人間の心理を利用して、様々な社会的効果をあげていこうという試みは、ビッグデータ導入に代表されるIT技術の進歩を背景に、これから加速していくだろうと言うのが依田教授の結論でした。

今でもアマゾンで検索したり購入すると、似たよう商品の広告ばかり来て閉口しますが、今後は社会全体で個人の快適さを提供するために、ココロに思っている変化が先回りして実現されるのでしょうか?

個人的には気持ち悪いと思うのですが・・・

 


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