作家の橘玲氏の新刊「幸福の資本論」を斜め読みしました。
これまでの橘氏の著作のトーンと同じく意表を突く展開ですが、内容は論理的でした。
詳しくは書籍をお読み頂くとして、気になった部分だけ感想を書きます。
この本は「幸福」とはどういうものかを3つの資本に分解して説明しています
1. 金融資本=お金です。経済的な独立
2. 人的資本=稼ぐ力です。自己実現力
3. 社会資本=人との繋がりです。
著者はこの3つが揃った人を「超充」と呼び、理想形としますが、現実には存在しえないと断定します。
人が幸福と言えるのは、3つの資本のうちで2つを持っている状態です。
1+2=高収入で資産家 投資家 トレーダー
2+3=高収入で人脈豊か 大企業勤務(リア充)
1+3=資産家で人脈豊か 旦那
これが一つだと幸福の土台がグラグラします。
1=退職者
2=駆け出しの自営業者 ソロ充
3=マイルドヤンキー(プア充)
そしてゼロだと「貧困」です。
僕が感じたことは、かつては幸福の条件は、金融資本>人的資本>社会資本だと
思っていましたが、現在は人的資本、社会資本>金融資本になっていることです。
金融資本が後順位なのは、歴史的低金利で資産運用が低調なこともあって資産の蓄積のスピードが顕著に低下していることが影響していますが、特に高齢になるとお金があっても他人と触れ合わずに孤独ならば、とても幸福とは言えないということなのでしょうね。
もう一つお金に関して著者が指摘しているのは、現在の日本で生涯賃金を3億円とすれば、普通に勤めて、合理的な生活をすれば、共稼ぎなら退職時に1億円貯めることは困難ではないと主張していることです。
実際に1億円が貯蓄可能かは分かりませんが、お金は人生にとり解決可能な課題で、稼ぐ能力や人との繋がりほど重要な要素ではないということでしょうか。
人的資本は、「ライフシフト」にあるように、自分の能力を磨いて、80歳くらいまで現役を続けることを勧めています。好きな仕事ならば可能ではないか?というのが著者の意見です。
社会資本についてかなりのページ数を割いて述べています。
簡単に言えば、誰とでも繋がればよいというものではない上に、繋がりの濃淡を考えないと却ってストレスが溜まるということですが、書籍ではもっと実際的な解析をしています。恐らく大多数の人のストレスの源は人間関係だと思うので、人生に役立つアドバイスが得られるかもしれません。
量の多寡は別にして、殆どの人は「金融資本」「人的資本」「社会資本」を持っています。
自分がもつ3つの資本の中身を棚卸して、今後の人生の「幸せ」について考えてみては如何でしょうか?