CFP試験の受検勉強をしていたので、しばらく社会保障の勉強はお休みをしていました。
試験は無事に合格したので、勉強を再開してみます。
ところで、この文章を書く気になったのは、本屋で立ち読みした週刊誌に「老前破産」や「75歳から
年金受給開始」などの記事が掲載されていたことによります。
公的年金で僕が分かったことを箇条書きにしてみます。
1. 公的年金は保険であり貯蓄ではない。
したがって支払った保険料と受け取る保険金(年金給付)の合計を比べる議論は意味がない。
しかし、自分の老後の人生をどれくらい支えてくれるかはしっかりと把握すべき。
2. 公的年金は将来いくらもらえるのか?
という質問への回答には、本当は将来の収入や生活費がわからないと回答できない。
数十年後の経済がどうなっているかは誰もわからないので、これに代わるものとして「所得代替率」が用いられている。
所得代替率は、年金受給額が現役時代の所得の何割に相当するかを示しているが、所得が下がれば金額は減るし、所得が上がれば金額が増えることになる。(将来の経済成長が大切)
(尚、一般には所得代替率の議論は、現役時代の所得の50%を超えられるかが焦点になっているようなので、老後の生活費を3割減としても、残りの20%は自助努力で蓄財しておかねばならない。)
3. 「所得代替率」の前提として、「マクロ経済スライド」制度が2004年に導入された。
これはある時期に年金保険料を固定して、保険料収入に合わせて年金の給付額を変えて財政の均衡を図る制度で他国に例の無いものである。
4.年金財政は破綻するか?
「マクロ経済スライド」がフルに適用されれば、年金の財政破綻は起きないはずであったが、
政治的駆け引きで「デフレには適用されない」ということが決まり、将来の年金財源の一部が現在の受給者(現在の高齢者)に支払われることになった。(デフレの期間が長すぎた。)
5. GPIFが運用している資金は、「余剰金」に相当するものである。
「マクロ経済スライド」がフルに適用されずに不足金が発生した場合に取り崩して支払いに使われる。
尚、現在の残高は149兆円強で順調に増加している。
6. 公的年金の課題は何か?
新たな動きとしては、厚生年金保険の適用範囲の拡大や年金保険料の最短支払機関が25年から10年になったことが挙げられる。
7.年金受け取り開始時期
また既に年金は60歳から70歳までの間で受給開始時期が選択できる制度になっている。
60歳で貰える年金額を1とすれば70歳から開始すると年金額は約2倍になる。
つまり、受給開始時期を遅らせれば受給金額が多くなり、早めれば少なめになる。
(因みに、週刊誌が記事にしている「75歳からの受給開始」については、現在の70歳の
上限を75歳に引き上げるだけならば、単に選択肢が増えるだけのことでしょうね。
前向きに考えれば、老後の雇用機会が増大すれば、75歳まで元気で働ける身体作りに
皆の関心が向けられるかもしれません。
しかし、記事にはあたかも75歳まで全くもらえないかのように書いてあるので、現状を知らない人が
読めば驚くと思います。)
公的年金は「ねんきん定期便」などの整備が進み、50歳を過ぎれば受給額の合理的な計算が可能になってきました。
公的年金額はマクロ経済スライドが適用されてマイナス金利が続けば減額されます。
将来の生活費を確保するためには、企業年金他の収入減を確保するか、老後の生活費の不足分を蓄財しておく必要があります。
このための計算式を一つご紹介しておきます。
これは経済評論家の山崎元さんとFPの岩城みずほさんが考え出された「人生設計の基本公式」です。
公式を使って計算した貯蓄率の目安としては、20%以下(手取り収入の2割を貯蓄に回す)ならば健全な家計ですが、30%を超えるようならば直ちに家計の見直しが必要とのことです。(「人生にお金はいくら必要か」東洋経済 31ページ)
手取り収入の2割を貯蓄に回して残りのお金で生活できるかなど、いろいろ計算して今後の生活を考えてみるのもお盆休みにふさわしいと思います。
社会保障には、年金のほかに医療や福祉があります。これらをもう少し学習して纏めてみたいと思っています。