2年半前に、家計分析とライフプランを作成したお客様から、再度のご相談依頼がありました。
2年半前は、一流企業勤務の管理職ながら、多重債務者だったそのお客様に、考える限りの
家計改善策と債務の整理方法をアドバイスしたのですが、さてどうなったでしょう?
ご相談依頼があった時点で、再度見直しの依頼があるのだから、改善しているだろうとの
楽観的予想が8割、もしかして追い詰められてどうしようもなくなった? という悲観的予想が2割といった感じで面談に臨みました。
お話を伺うと、結果的に家計は大きく改善されていて、一安心でした。
当時、私がアドバイスした内容は、自分の有利なポイントと、劣っているポイントを列挙して、有利ポイントで、どこまで不利ポイントを打ち消せるかを考えるというものでした。
具体的に言うと、そのお客様の一番の有利なポイントは、一流企業の管理職であるという
収入面、社会的地位の有利さです。
不利なポイントは、それだけの立場にありながら、金融のこと、家計のことに、恐ろしく
疎くて、無駄使い(浪費)が多いということです。
最初にアドバイスしたのは、債務の大きな部分を占める住宅ローンです。
当初のローン条件のままだったので、金利が低下している状況では、かなりの高金利ローンになっていました。
すぐに借入金利を下げるべきです。
普通は、他行への借り換えを勧めますが、このお客様は金融手続きに疎くて、しかも
面倒くさがり屋だったので、現在借り入れている銀行への金利引き下げ交渉を勧めました。
ここで役に立ったのが、このお客様の社会的地位です。
というのは、借り入れた銀行は、お客様の勤務先のメインバンクで、大切な取引先の幹部社員の申し入れを、無下に断ることはないだろうとの推測です。
今回お話を聞くと、借入金利はかなり大幅に下がったようです。
幸いなことに、定年退職時の退職金は、予想より多かったらしくて、その資金で住宅ローンの賞与返済分と他のいくつかの借入をまとめて返済で来たそうです。
定年退職後は、同じ会社の再雇用で働いているそうですが、元幹部社員に対して、会社は
給与面でそれなりの配慮を示してくれているらしく、再雇用終了時には、住宅ローンの残債を全額返済できる見通しだと、お客様はとても明るい笑顔で話してくれました。
ここまでのお話で、残された債務も解消見込みが立ったのですが、ご相談は再雇用終了後の
将来のことでした。
「実は、多少の余裕も出そうなので、資産運用のことも教えて欲しいんです」
「将来のことを考えられるようになって、本当に良かったですね」と言ったら、
お客様は笑いながら、「いろいろアドバイスを頂いて、ありがとうございました」
と言ってくれました。
自分のアドバイスが、お客さまのお役に立ったことが分かる時が一番うれしいですね。
お客様の現状は、債務者生活から脱出できる見通しが立った段階なので、手元の金融資産は
ほとんどありません。
私のアドバイスは、前回と同じで、自分の有利なポイントを使って、不利なポイントを消すことです。
お客様の有利ポイントは、好立地のマンションに住んでいること。
(だから住宅ローン金額が大きかった 笑)
もしも、今の住居の大きなこだわりが無いのであれば、郊外の中古住宅への転居による
資金捻出の検討を勧めました。
このほかにも、親世代からの相続への対応や、子供さんたちへの資金援助についてなど
ご相談は多岐にわたりましたが、どれも将来の生活を前向きにとらえるための質問だったので、私も明るい気持ちでアドバイスができました。
2年半前は、自分の自由になるお金が無くて、相談料の分割払いを依頼してきたお客様は、「良いお話だったので、今日の相談料は無料で結構です」という私に、「いや、是非払わせてください。教えて頂いた対策を検討して、また分からなければ、相談に来ますから」とお金を置いて行かれました。
幸せな老後生活を送られることを祈ります。