2024年から「新NISA」が開始されて、新聞、テレビ、そしてYouTubeでたくさんの記事やビデオが流されています。
沢山の専門家や非専門家が、ああでもない、こうでもないと話しているのを聞くと、
真面目に考えて話している人と、ポジショントークをやっていそうな人が見えてきて
面白いですね。
先日亡くなった経済評論家の山崎元さんの、「人生設計の基本公式」によると、ざっくり言って、現役世代から、手取り給与の約2割を、毎月積み立てれば、老後はまずまず安泰ということでした。
(以前に読んだ記事の記憶ですので、正確ではないかも 笑)
もしも新NISAで月額10万円を積み立てるとすれば、手取り給与は月額50万円、
社会保険料と税金が2割なら給与総額は60万円超、3割なら70万円強になります。
そうすると、年収は、ボーナスを加算してそれぞれ900万円、1200万円くらいとなってしまいますね。
それだけの年収を得ている人は、比較的少数派と思われます。
それに、手取り給与からは、他にもたくさん引き落とされるので、毎月10万円をNISAで積み立てることができる人は、限られていそうです。
年間120万円の積み立て投資枠さえも使い切れないならば、一般のサラリーマンにとって、プラス240万円の成長投資枠は、ほとんど無用かもしれません。
こう考えると、普通の社会人は、せっかくの枠を活用しようと頑張り過ぎずに、自分の収入の中から、できる範囲で積み立てるほうが良さそうですね。
片や、高齢になってお金を持っている人にとっては、年間360万円ではすくないという人もいるでしょう。
そのような方は、成長投資枠で米株を含む個別株式を購入して、株式の値上がりを待って
無税で売却するという楽しみがありますね。
しかし、そうやって節約して貯めた、または資産運用で増やしたお金を、高齢者さんたちはどうするのでしょう?
私の親の世代(大正末期から昭和初期生まれ)は、大きな戦争もあったことからか、次世代にできるだけ資産を残そうという身持ちが強かったと思います。
特に、バブル時代には、急激な不動産価格の高騰に対して、巨額の相続税を回避するための
節税対策が大流行でした。
東京の都心や駅近の土地価格が急騰したので、個人宅の狭い土地に、無理やり細長いビルやマンションを建設した成金ともいえる人が沢山いました。
その人たちは、バブル経済の崩壊とともに、土地価格が暴落したうえ、「失われた30年」という長期の不景気で、ビルのテナントやマンションの入居人の集客が芳しくなく、
建物を建てた時に借りた長期借入金の返済に苦労していました。
建物を建てた世代は、既に亡くなり、相続で(負の?)資産を継いだ子供たちが、負債を
一生懸命返すことになりました。
銀行員時代には、せっかく考えた相続対策が、裏目に出た例をたくさん見て、とても気の毒でした。
西郷隆盛は、「児孫の為に美田を買わず」と言ったそうです。
明石家さんまは、「Imaluには財産を残さない。なぜなら人生の楽しみを奪いたくないから」と言っています。
(本当にそう思っているかは不明ですが 笑)
そうなってくると、年齢を重ねるにつれて、老後の生活が不安だからと、一生懸命に貯めたお金はどうすればよいのでしょう?
私の答えは、「自分で使ってしまうこと」
昔は、「子供たちにお金を早く渡してしまうと、老後になって面等を見てくれない」という恐れを持つ人もいたようです。
しかし、現在は「介護保険」制度が浸透して、お金があっても無くても、介護保険を使って施設や病院のお世話になる時代です。
公的年金で不足しそうな金額+安心料を取り分けておいて、あとは身体が元気なうちに
思い切って使ってしまっては如何でしょうか?
先日亡くなった、経済コラムニストの大江英樹さんは、著書「賢いお金の減らし方」で
老後生活で大切なのは、「仲間、信頼、思い出、トータルな幸福感」と喝破されています。
総じて言うと、「人間関係にお金を使いなさい」ということになりますね。
具体的に言うと、好きな人と食事する、旅行するなど、同じ時間を過ごすためにお金を使う。
仲間に限らず、他人が困っているときに、何かサポートする。
寄付という形で、お金でサポートしてもよいし、自分の持つ知識や能力で助けてもよい。
(好きではない人や、相性が合わない人には、できるだけ近づかない方が良いのは当然ですが 笑)
身体が元気なうちに、こういうことを続けていると、毎日の生活に張りが出て、全体的な幸福感が高まるということなのでしょう。
そして、最後の時を迎えるに当たって、「良い思い出」に満たされてこの世を去るという
シナリオです。
少し難度が高いかもですが、そんな人生の終わり方ができれば好いですね。