5月12日、京都の中心地である河原町御池にある、京都信用金庫の近代的なビル
「クエスチョン」でFIWA(みんなのお金のアドバイザー協会)の勉強会が開催されました。
当日は、橋本卓典氏(共同通信社編集委員「捨てられた銀行」シリーズ著者)の
ご講演に続き、田村正之氏(日本経済新聞編集委員)がモデレーターとなり
京都信用金庫の伴個人金融本部長、北國銀行の福田ライフプラン部グループ長、
FIWAから岩城副理事長、高橋理事が参加してのパネル・ディスカッションが行われました。
当日は、朝からよく晴れて、久しぶりにやってきた鴨川のほとりには、京都の夏の風物詩
である「床」が軒を連ねていました。
京阪三条駅を出て、鴨川を渡り、地図を見ながらホテルオークラの角を折れて、
北に向かったのですが、途中で反対方向来たことに気づいて、念のため、向こうから歩いてくる女性に道を尋ねました。
「クエスチョンですか。よくセミナーやっていますね」と京都では話題のビルのようです。
「逆方向に信号を4つ越えたらありますよ」と教えてくれました。笑
お礼を言って、逆方向に歩いて、ビルに行きあたって振り返ると、その女性がちょうど、
私が渡り終えた信号に差し掛かったところだったので、手をあげて着いた旨を伝えると、
彼女も手をあげて答えてくれました。
京美人との短い出会いでした 笑
セミナーは、橋本さんの講演から始まりました。
地域金融機関として、独特の顧客本位戦略を実践している、北國銀行と京都信用金庫につき
エピソードを交えながら紹介されていました。
有料セミナーですので、内容のご紹介はしませんが、両行ともに経営トップの強い意志と
リーダーシップが、両行の独自の経営戦略に大きな影響を与えているようです。
パネル・ディスカッションでは、田村さんの司会のもとで、パネリストが自社・自分の
活動紹介を行いました。
北國銀行・京都信用金庫からは、橋本さんからの両行の紹介を裏付ける形で、個人金融部門の活動内容の紹介があり、岩城さんと高橋さんからは、アドバイザーとしての各自の
ビジネスモデルの説明がありました。
私が感じた、北國銀行の「顧客本位」のキーワードは「顧客起点」、京都信用金庫は
「顧客に寄り添う」ということです。
セミナーの終盤に、せっかく京都までセミナーを聞きに来たので、思い切って質問を
してみました。
「今までのお話は、金融機関・アドバイザーからの顧客本位という視点ですが、特に
顧客と長い付き合いとなる地域金融機関にとり、これが顧客の気持ちであり望むことだ
と判断する基準のようなものはあるのですか?」
私の質問の背景は、1997年に米国から帰国して、大阪府下のある支店長を拝命したときに、現場はバブル崩壊の後の不良債権(銀行目線です)が山積みで、海外帰りの新任の
支店長に対しても、お構いなくクレームや不満が押し寄せていました。
過去の経緯を調べながら、一件ごとに対応していたのですが、お客さんの話を聞いていると
感情を抑えて冷静に話そうとするかたとともに、怒りや恨みの感情から、銀行の横暴を
訴える方もおられました。
その中では、銀行がやりすぎた事例も沢山ありましたが、銀行員が良かれと思って、
お客さんに勧めたことが、土地神話の崩壊とともに、大きな禍根を残した例もありました。
まさに、顧客にとっても、銀行にとっても良いだろうと勧めたことが、想定外の市場の変化で、結果的に見れば、大きな間違いになったわけです。
そのとき考えたことは、「お客様にとり、本当に良いことって何だろう?」です。
今考えれば、あの時の経験が、はるか後にFIWAに参加する遠因にもなっていますね。
平成バブル崩壊は、日本の金融史でも特筆すべき大事件ですが、それほどでなくても
比較的大きな市場の変化は、10年ごとくらいに起こります。
金融の世界では、先行きがどうなるかを正確にわかることは不可能なので、顧客に
アドバイスをするときも、そのことが大きな前提になります。
したがって、お客様と話すときに、相手の金融知識やリスク許容度を推定しながら、
慎重に提案するわけですが、いつもながら、数回の接触で適切なアドバイスをすることは
難しいことだと感じています。
おそらく、地域金融機関のかたは、我々のような独立系のアドバイザーに比べて、顧客接点が格段に多いので、「顧客起点」や「顧客に寄り添う」視点でお客さんと長く付き合えば
顧客にとって、本当に良いことが見えてくるのかもしれませんね。
前出の橋本さんによれば、この2行は、まだまだ特殊で、他の追随を許していないのだが、
この2行に注目している金融機関は沢山あるとのこと。
セミナー後は、ビルの一階で簡単な懇親会が開かれました。
橋本さんはじめ、北國銀行や京都信用金庫の方たちから、いろいろなお話をお聞きすることができて
とても有意義な時間を過ごすことができました。
多くの金融機関が、「顧客起点」や「顧客に寄り添う」のような、独自の顧客への視点を
持ってくれれば、日本の個人金融が良い方向に変わって行ってくれると思いますね。