メタバースとWEB3.0について、最近学習した知識を整理して、簡単にまとめてみました。
あなたは、スマホの画面を、一日当たり何時間くらい見ていますか?
パズドラのようなゲームや、YouTube動画を楽しむか、そうでないかによって
大きく変わりますが、少なくともスマホのない生活は、もはや考えられないでしょう。
スマホが、第一に来ることを、モバイル・ファーストと呼びます。
では、スマホの次は何でしょうか?
「メタバースとWEB3」著者である國光宏尚さんは、バーチャル・ファーストになると
予測しています。
なぜならば、例えば20年後を想像して、相変わらずスマホの小さな画面を見つめる
生活は、考えられないからだそうです。
では、具体的にどうなるか?
現在は大きなゴーグルのようなVRヘッドセットを装着して、仮想現実を見ていますが、いずれは技術の進歩により、もっと軽装備で体に負担の少ない機器が開発されると、
かなり長い時間装着できるようになります。
(おそらく、バーチャル・ネイティブと呼ばれる若い世代が出現するでしょう)
バーチャルで観たほうが、ゲームや動画はよりリアルに感じられます。
それに、インターネットのレスポンスの速度が、飛躍的に上がることで、実在感
(國光さんは「センス・オブ・プレゼンス」と言っています)が増幅されて、
バーチャルとリアルの区別がつかなくなります。
これが実現すると、言葉のコミュニケーション以外の、ノン・バーバルコミュニケーションができるようになり、現在インターネットでは難しい、感情の共有も可能になる
かもしれません。
この世界が、未来のメタバースです。
インターネットの世代には、今のところWEB1.0, WEB2.0, WEB3.0(次世代)
があります。
これらについて、國光さんの本を参考にして、簡単にまとめてみましょう。
WEB1.0→読み取り専用WEBと言われるWWW革命の最初の段階。(一方通行)
WEBサイトは静的な情報で構成されていて、テキストメールしか書けず、
写真や動画のアップはできなかった。
システム→Internet Explorer, Netscape, Yahoo, Google
WEB2.0→WEB進化の第二段階。(双方向)
読み取りや書き込みが可能になり、ユーザーとの対話ができたことで、
エンドユーザー相互運用性に重点が置かれ、参加型のソーシャルWEBとなった。
システム→Facebook, Twitter, Instagram, YouTube, Uber
WEB3.0→次世代のWEB.(分散)
ユーザーが、自分自身のデータ、アイデンティティー、運命をコントロール
できる。「分散型でかつ公正なインターネット」の実現が可能
システム→Open Sea, Ethereum, THETA
WEB1.0は、過去の話ですが、WEB2.0は現在の話です。
ここでの問題は、本来個人の所有物であるはずの個人情報(データ)が、巨大
プラットフォーム企業に支配されているということです。
簡単に言えば、Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoftの5社が、それぞれの
ビジネスで集積したデータを活用して、さらに各々のビジネスを発展させています。
情報支配が端的に表れているのは、例えば、Twitter社によるトランプ元大統領の
アカウント停止です。
世界最大の権力者であるアメリカ大統領のアカウントでさえ、Twitter社という
一企業の決定で使用がストップできるのです。
このような中央集権的な情報支配に対して、情報を個人の手に取り戻そうとしている
のが、WEB3.0になります。
ちなみに、國光さんの説明ではWEB3.0はWEB1.0,WEB2.0からの流れだが、
業界では通常WEB3と言うそうです。
これは、WEB3が、ブロックチェインという分散型の技術に基づいて、その上に
構築されていくもので、WEB1.0, WEB2.0とは、流れが異なることから来ています。
これまで説明してきたように、フィンテックはブロックチェインという分散型台帳
にのっとって、ビジネスを展開していくのですが、大きく分けて4つの分野があります。
(私が理解している限りですが)
まず、一つ目は暗号通貨。
色々な通貨がありますが、最も有名なのはビットコインです。
最近の報道では、過去上昇トレンドを続けていたビットコインの価格が、米国の利上げなどの影響で、暴落したと伝えられています。
暗号通貨は、主に資産価値が注目されています。
二つ目がデジタル通貨。
各国の中央銀行が発行計画または発行しています。
最近では、中国政府が北京オリンピックで、提供していました。
ブロックチェイン技術を使うことで、送金などのコストやスピードが速くなる、
デジタル証券の発行に使うなどの用途が考えられます。
三つめがNFT。
暗号通貨の一つであるイーサリアムの持つ、スマートコントラクトという技術を
使って、何らかのコンテンツが本物であるという証明を行い、希少的な価値を
付与するもの。
リアルの世界では、これが本物であるという証明はとても難しいが、
メタバースでNFT化すれば可能になる。
例えば、スポーツ選手のトレードカードをNFT化して100枚しか発行しないと、
希少性を評価して、ファンが買い求めることで、経済的価値が生まれる。
四つ目がDeFi.(De-centralized Finance 分散型金融)
リアルの世界では、基本的にお金は銀行を経由する。つまり金融機関が中央集権体制
(Centralized Finance)をもって金融を支配しているのだが、メタバースでは、
ブロックチェイン技術を使って、誰も支配しない非中央集権の分散型金融が
可能になる。
これらに関連して、NFTやDefiを執行する組織をDAOと呼びます。
これはDecentralized Autonomous Organizationの略で、自律分散型組織と訳します。
これまでの組織のような、リーダーや管理者がいない組織で、参加者全員の監視と
合意に基づき、運営されます。
まるで夢を実現するようなメタバースとWEB3ですが、現実には克服しなければ
ならない課題がいくつも存在します。
第一の課題は、ブロックチェインの最大の特徴である「分散」が本当にできているのか? ということです。
2022/6/13付の東洋経済オンラインの記事によれば、ビットコインの当所のマイナー
(発掘者)は64名だったが、実際にはもっと少なかったと思われると推定しています。
ビットコイン「実質支配していた人たち」の正体 | The New York Times | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
完全に分散していたはずの暗号通貨の組織(DAO)が、64人または、それ以下の人数で運営されていたならば、実際の人数によっては中央集権だったとも言えます。
そして、もしも少ない人数で運営されていたならば、監視の目が行き届かずに、
漏れやミスが発生する可能性、そのうえ不正が生じる懸念もあります。
(上記の記事によれば、マイナー(発掘者)の中には、実際に犯罪者もいたようです)
第二の課題は、中央集権組織との関係性です。
リアルの世界を支配している中央集権組織(国家・企業そのほか)にとってみれば、
メタバース空間は、いきなりもう一つの地球が出現したようなものですね。
悪いことに、メタバース空間は、リアル世界との接点がないので、中央集権組織の支配力が届きません。
そうすると、NFTが経済的価値を持って、経済活動を行っているメタバースから、
そこで流通している暗号通貨が交換所を経由して、自由にリアルの世界に流入する、
もしくは、リアルの世界から、交換所を経由して、自由にメタバースに現実通貨が流出するという事態が発生します。
中央集権組織にとっては、このことは自分たちの支配権を脅かす一大事です。
そこで、中央集権組織はメタバースを強く規制しようとします。
メタバースは大いに反発しますが、反面メタバースとしても、あまり自由に何でもできるとメタバース内での混乱が発生します。
メタバースは一つということはなく、いくつものメタバースが共存するのですが、
経済活動で大切なのは、相互の互換性です。
一つのメタバースのNFTや通貨が、他のメタバースでも使えないと、経済活動が
制限され、価値の増大も望めません。
つまり、お互いを行き来するルール作りが、必要になります。
おそらく、今後は中央集権組織と、各メタバース内のDAOの話し合いや交渉が
行われていくでしょう。