6月13日付の東洋経済オンラインに慶応義塾大学大学院の小幡績准教授が面白い寄稿しています。
日本でも今後「ひどいインフレ」がやって来るのか | 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 (toyokeizai.net)
小幡さんはインフレを3つに分けて、それぞれについて解説しています。
1つめはデマンドプル型インフレ。
需要が強くてモノの値段が上がるインフレです。
2つ目はコストプッシュ型インフレ。
原材料費などが値上がりしてモノの値段が上がるインフレです。
3つ目はハイパーインフレ。
中央銀行がマネーを大量に供給すればインフレになるというものです。
しかし3つ目の政策は日本銀行が長期間実行してほぼ失敗に終わっています。
壮大な社会実験の結果、金融政策ではインフレは起こせないという結論が出ていますね。
小幡さんの寄稿が面白いのはここからです。
おそらく自分だけがどうやったらインフレが起こせるかを知っているとして提示したのが
「値上げ」です。(笑)
そりゃ確かにそうですね。
値上げすればインフレになりますよ。
ではなぜ日本ではインフレが起こらないのか?
寄稿の中の小幡さんの文章を引用してみたのでご一読ください。
「日本でインフレがおきにくい理由は、日本企業が値上げを嫌うこと、そして、その背景には、値上げを極端に毛嫌いする日本の消費者がいることである。つまり、日本人がケチだからなのである。」
私は1990年から1997年まで米国に駐在していたのですが、帰国してまず感じたのが「日本ってこんなに窮屈な国だったかな?」ということでした。
ちょうど金融情勢が厳しくて、いろいろな問題が発生していたのですが、会社の経費を含む支出管理が厳しくなって、リストラを含む人件費削減が行われていたので、何となく社会全体がケチになったなあと思っていました。
(バブル崩壊前の日本の記憶のままに米国に赴任したのでギャップが大きかった 笑)
このケチ感覚はリーマンショックでさらに加速されて現在に至ります。
最近は夕食の買い物などで週に何回かスーパーに行きますが、同じ値段のお菓子でも
以前に比べて量が少なくなったと感じることが増えました。
皆さんはそのように感じられませんか?
メーカーとしては値上げの印象は避けたいので一袋当たりの値段は変えたくないのでしょうね。
でも中身が減れば実質値上げです。
このように統計に表れない値上げ、つまりインフレは身近な減少になっている気がします。
食用油などでははっきりと値上げする会社も出てきています。
一方でケチには関係ないところ、つまり好立地の不動産物件などはどんどん値上がりしています。
これは明らかなインフレです。
公式な統計では、物価は上がらずインフレは起きていないようですが、実際の社会生活ではインフレの波は押し寄せてきている気がします。
インフレになるとお金の価値は目減りするので、一般的には株式や不動産に資金がシフトします。
賃金や年金も不十分ながら(理論的には)インフレに対応する形で金額が上昇することに
なっていますが、いざインフレになるとやはり生活が苦しく感じるでしょうね。
日本全体が「ケチ化」してしまっているので、相変わらずデフレで物価は上がらないと
決めつけている人が多いようですが、知らず知らずのうちにインフレの波はひたひたと
近寄ってきているかも知れませんね。
今のうちから自分なりに対策を考えておいたほうがよさそうです。