FBには「あなたの〇年前の思い出」という投稿が忘れた頃に出てきます。
今朝は6年前に放送大学大学院で書いた修士論文の研究発表の投稿がポップアップされていました。
「懐かしいなあ」と思って、思わずコメントして(FBの罠にはまって)投稿してしまいました(笑)
会社員を長くやっていると、学生時代に身に着けた(?)知識は忘れているし、第一役に立たないから、老後の人生を豊かにするために定年前または定年直後に再学習したほうが良いと言われることがあります。
所謂「リカレント教育」ですね。
これには趣味の延長の学習や資格取得の勉強がイメージされやすいと思います。
ただ言うのは簡単ですが、人生で何をするにも時間とお金が必要です。
私は定年前後にかけて、趣味の学習と資格試験の勉強を両方やったので、かかった時間とお金について書いてみたいと思います。
まず趣味のほうですが、放送大学を選んだのは「誰でも入学できる」と聞いたからです。
出身大学の学部の講義内容なども調べたのですが、放送大学はオンライン授業ができることと学費が比較的安いことで選びました。
利便性重視ですね。
「友達がいない」とか「学習するのは孤独との戦い」という考えもありますが、私は一人で学習することは苦にならない質なので、そこは気にしませんでした。
当てが外れたのは、放送大学は無試験ですが、大学院はちゃんと入試があったということです。
しかも当時はそこそこ倍率が高かったように記憶しています。(2倍はあったかな?)
結局放送大学には大学院4年(国際政治・情報学の2課程)選科生(情報コース)1年の5年通いました。
大学院は1課程で50万円くらいだったので、約100万円。
選科生は20万円くらいでしょうか?
(放送大学を本科生として卒業するには70万円くらいかかるそうです)
大学院では指導教官の元でゼミ指導を受けました。
ゼミは東京で開かれていたので、国際政治ゼミには毎月奈良から新幹線で東京へ通っていましたね。
情報学ゼミは3か月に1回開催だったと記憶しています。
もしも宿泊するとお金は上乗せされます。
まだ現役で働いていたので、正直言ってお金よりも時間の確保が大問題でした。
修士課程は論文を書くだけではなくて30単位くらい授業も取らねばなりません。
大学院の教科書を読みながら、新幹線で東京まで往復していました(笑)
あるとき面白そうだと思って大学院の数学を履修したら、これがさっぱりわからない。
友人に高専の数学教師がいたので、通信教育の問題を聞いてみたら
「そうだね、大学院では普通のレベルだな」と言っただけでした。
(解き方教えてくれよ!)
と思いながら、聞き方が分からずにいたら
「問題を送ってくれたら、あとでソフトを使って計算しようか?」と言ってくれました。
こちらは(高校レベルの数学のように)紙と鉛筆で説明できるものだと思っていたので
(こりゃダメだ、理解不能)と判断して諦めました。
でもせっかく履修登録したので単位認定試験を受けて鉛筆転がしで答えたら、何故かギリギリで単位が取れました(笑)
やはり鉛筆は有用ですね。
このような「考える」時間のほかに、論文作成のために資料を「探し調べる」時間が大量に必要です。
本来はこれが学習の楽しみであり学ぶ意味なのですが、現役で仕事をしていると時間の制約があってこれが苦行になることがあります。(苦笑)
これらの学習で得られたものは、直接的なお金ならばゼロ円です。
学習にはお金は使うだけだと思ったほうが良いです。
しかしもっと価値のあるものが得られました。
国際政治では世界情勢の見方に自分なりの考えを持つことができて、投資をするときに役立っています。
情報学はデータベース専攻でしたが、当時の職場の基幹システム更新や現在の職場のIT整備の理解に役立っています。
このブログを設定するときにも、基礎知識があったのでほぼ独力で設定できました。
国際政治の論文はスペインがテーマで、スペイン語と英語の文献をかなり読んだので2つの言葉を思い出しました。
2つの課程ともに、論旨明快で誤解がない文章を書く訓練ができました。
これはあとで趣味の小説を書く時に役立ちましたね。
ゼミ仲間には博士課程に進んだ人も何人かいました。
国際政治ゼミは公務員が多かったこともあって、引き続き放送大学大学院博士課程へ、
情報学ゼミでは一人が別の大学の博士課程に進み、仕事をしながら博士号を取得しました。
嬉しかったですね。
かつての仲間の消息は、時折聞くことがあって、すごく刺激になっています。
いつか仕事が無くなっても、多少のお金が手元に残っていれば、また学習をしようかなと思っています。
定年前後の再学習をやってみての感想は、定年後に限らず、何かするには基礎を持っていないと先に進めない(または方向性を間違えやすい)ことがあるということです。
何かやりたいならば、どこかの時点で一度基礎的な学習をして基礎を固める努力をしたほうが、たとえその時は苦しくても、あとがやりやすいような気がします。
次に資格試験です。
私は前の職場を定年退職した後、自営業をやろうと思っていましたが、結局退職直前まで何もしないで過ごしました。
(大学院での学習以外の時間は、走ってばかりいたような気がします 笑)
退職が決まり、以前から保有していたFP資格(AFP)のブラッシュアップのためにCFP資格試験を受けることにしました。
その前に50歳で銀行を退職したのは、直接には両親の介護が切っ掛けでしたが、そのあと10年以上関西で会社員として働きながら父親の認知症と母親の心臓病の様子をすぐ近くで見守っていました。
両親の年金保険(遺族年金)、介護保険、地域医療(ケアマネージーとのやり取り)、役所からの補助金申請や遺産相続などの手続きをはじめ遺品整理、介護施設入所のやり取りなどFPとして必要な実務をやっていたので、正直なところ試験はそんなに難しくないかなと思っていました。
試験を甘く見ていたわけではないのですが、5月のCFP試験は「飛騨高山ウルトラマラソン」と重なったので3科目だけ受験。
11月のCFP試験は「神戸マラソン」と重なったので、もう片方の3科目だけ受験。
結果は、実務的に知っていた「金融」「ライフプラン」「税金」「相続」は過去問学習だけで合格しましたが、細かい実務を知らなかった「不動産」と「保険」は何点差かで不合格。
試験勉強とマラソン練習は両立できると思っていましたが、集中力不足でしょうか?
それとも年齢?(笑)
仕方がないので、何万円かを支払って、予備校で作成しているDVDを2科目分購入して何回か見て翌年5月に2科目合格しました。
よく「資格は足の裏の米粒と同じで、とっても食えない」と言いますが、
たしかに定年後に取得した資格ですぐに生計を立てるのは難しそうです。
現状を見ると、資格よりも現役の時の経験を活かして活躍している人が多いようです。
私の場合でも、過去の海外駐在経験と言語を含めた実務経験をベースにしたアルバイトがお金を生んでいます。
このアルバイトはFP事務所を開くお金を貯めるために、友達の紹介で始めたのですが、いつの間にか3年を超えてしましました。
おかげで昨年4月からバーチャルオフィスを借りてFP事務所を開業できました。
FP相談は、始めたばかりということもあって、現在はほとんど収入にはなっていませんが、めげないで続けていると、今の仕事がなくなったあとに、もしかしたら花開くかな?と楽しみに続けています。
SG(スタディグループ)のお手伝いも楽しくやらせてもらっています。
これは貴重なボランティア経験ですね。
私は幸運にもCFP資格取得に、あまりお金を使わずに済みましたが、せっかくとった資格がお金を生まないのは残念ですね。
年齢にかかわらず、資格試験に挑む方は、そのあとの実務経験の積み方も視野に入れておいたほうがよさそうです。
趣味の学習と資格試験を両方やってみて思ったことは、「やりたいことは、すぐに始めないと結局できない」ということです。
これは年齢を重ねると余計にそうなります。
無謀と思えることでも、自分の保有するお金と人生の持ち時間のことをよく考えて、それでもやりたかったら思い切ってやってみるべきです。
ただし出来れば、自分のことをよく知っていて、親身に考えてくれそうな人がいたら、一人だけ相談してみることをおススメします。
後押ししてくれたら勇気が湧きます。
それに客観的な意見は、考え落としを教えてくれて、あとで後悔しないために役立ちます。
世の中にはいろいろな意見があるので、「お前よりももっとやってきた」という人もいれば「お金も時間もないから、そんなにできない」という人もいると思います。
私の考えは「人生の目的は自分が自分を幸せと思えることなので、他人との比較は意味がない」と思っています。
これは年齢を重ねるほどそう思うようになりました。
自分と他人を比較して羨む時間や妬む時間があれば、さっさと自分のやりたいことをやって幸せに近づけばよいと思います。
そのために使うならば、きっとあなたのお金も喜ぶでしょう。