65歳を過ぎると介護保険料は年金支給額から天引きされます。
64歳までは、健康保険料と同じく給与から天引きされていました。
給与天引きから年金天引きに代わるだけなので、あまり気にしない人が多いかもしれませんが、感覚的には大きな金額になります。
(自営業の方は64歳まででも会社員よりも負担額が大きいようです)
64歳までは会社が所属する健康保険組合が決めた保険料率に会社が半分を補填してくれていました。
65歳を過ぎると居住する市町村が決めた報酬基準と保険料率に従って介護保険料が決定され、全額が本人負担となります。
夫婦2人が65歳を超えると、負担はさらに増加します。
介護保険を使うのは主に65歳以上の人なので、受益者負担ということでは65歳を超えると負担額が大きくなるのは仕方ないのですが、問題は介護保険費用の増大の背景には、高齢者の医療関係費用全体がそれ以上に増大していることです。
最近では75歳以上の後期高齢者の医療費の自己負担額が1割から2割に引き上げの方向です。
高い介護保険料を支払って、自己負担額まで引き上げられては堪らないというのが
庶民の意見ですが、医療財政の窮迫はそのような反論に耳を貸す余裕はなさそうです。
このままでは、北欧のように国民が社会保障費を高負担する方向に進む印象ですね。
しかしコロナ禍でみられるような医療サービスの偏在というような状態が改善されなければ、社会保障負担が大きくなっても国民医療への平均リターンは必ずしも高くならない懸念もあります。
つまり高負担に対して高福祉なら北欧式でまだ良いのですが、高負担をしているのに中福祉または地域によって低福祉になると、国民の間でバランスが取れないばかりか、社会全体の格差がますます広がることになりかねません。
このような日本全体の問題に対して個人がとりうる解決策は限られています。
正論は選挙に行って、社会保障や社会の格差を是正してくれる政治家を選出するということなのですが、実際に投票するとなると誰がそんなことをしてくれるのか、今の選挙公報を見ていても私にはさっぱりわかりません。
個人としてできるだけ医療の問題に巻き込まれないようにするためには、できる限り病気の予防をするということに尽きると思います。
聞くところでは、コロナ予防のためにマスク・手洗い・会話制限などを行った結果、インフルエンザの罹患数が激減したそうです。
(それでも時々(男性)トイレから出るときに手を洗わない人を見るので、ゼロにはなりませんが)
また病院に行くことで却ってコロナに感染する可能性があるということで、患者さんが大幅に減少して経営難の医院や病院が増えているとも聞きます。
お医者さんにはお気の毒ですが、もしかしたらこれまで我々は気軽に病院に行き過ぎたのかもしれません。
急性期の病気や慢性期でも継続治療が必要な病気は医師にかからねばなりませんが、それこそ不要不急であれば、まず休息(具体的には眠ること)して回復を図ってみることが大切になってきます。
コロナやインフルエンザのようなウイルスの予防ばかりではなくて、最近の病気の原因の主流を占める生活習慣病に対しても適切な予防策を行うことが、おそらく長期的に見れば大きな医療費の削減が可能になります。
例え寿命が天命であるという考え方を受容するにしても、亡くなる前までのできるだけ長い間を自分で自分の身の周りの処理ができるようでありたいというのは自然の願いです。
健康寿命を延ばすためには、病気をしないように生活習慣に注意するとともに、筋力をつけるなど高齢者でも改善できることを地道に行うしかないと思いますね。
適切な例えかはわかりませんが、運転免許も無事故だとゴールド免許になって、自動車保険料が安くなります。
逆にタバコを吸う人の生命保険料が割高になることもあるようです。
現在でもアマゾンや楽天で購入した商品をもとにして類似の新商品を勧められることや、
過去に検索した情報をもとにして書籍などをネットで進められた経験を持つ方は多いでしょう。
このように、今後個人の健康情報記録の電子化や細分化が進むと、専門医の発見が容易になるというメリットとともに、病歴や嗜好によって加入できる保険が限られるなどのデメリットも生じてくる可能性があります。
冒頭の介護保険料は国民の義務であり、高齢者は受益者なので頑張って支払うしかありませんが、病気の予防に努めて健康な生活を送ることで、自己負担が2割になる予定の病院通いをできるだけ回避して無駄な生活コストを低下させる努力をしたいものですね。