2月29日、大江英樹さんプロデュースの大江工務店セミナーに行ってきました。
テーマは「キテ、ミテ、カンジテ、大原美術館」ということで、大原美術館の大原あかね理事長のお話を聴いてきました。
コロナウイルスでセミナーやマラソン大会などの中止が相継ぐ中で、20名超の方が話を聴きに来られていました。僕の知っている人も3分の一くらいいましたね。
FP中心に自営業の方が多かったので、活動自粛の風潮は、やむを得ないと言いつつも堪えている印象でした。
講演の内容は、大まかに言って、岡山県並びに倉敷市の紹介、大原家の歴史そして大原美術館の活動の説明でした。
もちろん、一番熱が入っていたのは大原美術館の活動の紹介でした。
有料セミナーでもあるので、講演の内容の紹介は控えますが、全体として僕が感じたのは、
(当然と言えば当然なのですが)大原さんは、強く「芸術の力」を信じておられるということでした。
それば、単に「絵画を守る」「絵画を活用する」ということにとどまらず、絵画(芸術)を通して人間の活力や創造力にインパクトを与えるということを目指しておられるのではないかな?と感じました。
それを感じた一つのエピソードはARKOプログラムのお話でした。
ARKOとは、Artist in Residence Kurashiki, Oharaの頭文字をとったものです。
具体的には、大原美術館の創始者である大原孫三郎の盟友である、画家の児島虎次郎(欧州で印象派を中心に絵画を収集し美術館の基礎を作った)のアトリエ「無為村荘」に公募した若手画家一人に3か月間滞在してもらって作品を制作してもらうという試みです。
製作費並びに生活費の一部を大原美術館から支給されるのですが、多分お金よりもかなり広い空間を、自由に自分の制作のために使えることが大きなメリットのようです。
大原さんは滞在した画家の一人から、「学生の頃は身体全体を使って製作してたけれど、最近は小手先で描いていた。無為村荘で久しぶりに身体を使って描くことを思い出した」と聞いたそうです。
創作のためだけのゆったりした時間と大きな空間を、才能ある若手画家に与えることで、その画家の五感が刺激され、物理的に身体が反応して作品が創作されていくのは、お話を聴いているだけでも興奮しますね。
まさに芸術が生まれていく過程のような気がします。
もう一つ、大原さんが少しだけ触れられたのが「修復」の話です。
これは僕の思い出になりますが、スペインのマドリードにいた頃に、ピカソの「ゲルニカ」がスペインに帰ってきました。
プラド美術館が、いそいで別館を作って、ゲルニカだけを展示していたのを、何回も見に行きました。
30年後、再びスペインに旅行にいって、ソフィア王妃芸術センターにあるゲルニカを見に行きました。
ちょうどゲルニカは修復中で、少しだけその様子を見ることができました。
(VTRだったかもしれません。記憶があいまいです 笑)
ガイドの説明は、「平和を訴えるためにゲルニカは世界中を回り、そのためかなり傷んでしまったので修復している」とのことでした。
その時に思ったのが「芸術の力」です。
そして、ゲルニカがスペインに帰ることを亡くなるまで拒否していたパブロ・ピカソは
(ピカソは反フランコでしたからね)
ゲルニカが大規模な修復が必要になるまで世界中を回って平和を訴えたことに、多分満足しているだろうなあ・・ということでした。
大原さんのお話をお聞きして、僕の勝手な思い出話を書かせていただきました。
でも、僕にこの話を思い出させてくれたのは「大原あかねさんの力」ですね。(笑)