公的年金保険と老後の2000万円については、沢山の議論が出ていますので、今さら素人の僕が言うことはありませんが、調べてみたことや、考えたことを記録のために纏めておこうと思います。
まず公的年金保険側(厚生労働省視点?)の意見として、慶應義塾大学の権丈善一教授が6月30日付の東洋経済オンラインに寄稿した記事の一部を下記に抜粋してみました。
https://toyokeizai.net/articles/-/289562?page=2
「2004年に、日本の公的年金保険は将来の保険料を固定する保険料固定方式に転換した。その際、当時の給付水準を維持していこうとすれば、仮に基礎年金への国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げたとしても厚生年金保険料は22.8%になり、国民年金保険料は2万700円(2004年度価格)になることが試算されていた。
その保険料水準にまで上げることを拒んだ日本の公的年金は、厚生年金の保険料を18.3%、国民年金の保険料を1万6900円(2004年度価格)にとどめる選択をした。その時点で、将来の年金給付水準が下がることは運命づけられていたわけである。」
(黒字は筆者)
権丈教授によれば、今から15年前に「将来にわたり制度を継続するために、給付は低下する」選択が為されていたことになります。
(因みに、権丈教授は後の文章で、将来の給付を上げるための施策と努力に着いて詳しく書いておられます)
次に金融資産運用側(金融庁視点?)のコメントとして、FPの深田晶恵さんが6月27日付ダイヤモンドオンラインに投稿された記事の一部を引用してみます。
https://diamond.jp/articles/-/206914?page=2
「(省略)年金収入300万円の手取り額を1999年と2019年で比較したものである。20年間で36万円も手取り額が減っている。まさに衝撃の事実だ。
(中略)
2000年以降、年金の手取りを減少させた制度改正は次のようなものである。
【主な増税】
2004年:配偶者特別控除の一部廃止(この前年まで専業主婦を持つ夫は38万円+38万円の控除を受けることができたが、配偶者控除の38万円のみになった)
2005年:65歳以上の老年者控除(50万円)の廃止、65歳以上の公的年金等控除額(年金の非課税枠)の縮小
2006・2007年:定率減税の縮小&廃止
【社会保険料負担アップ】
2000年:公的介護保険の導入による保険料発生
2008年:後期高齢者医療制度導入による保険料発生
その他、国民健康保険料と介護保険料は毎年のようにアップしている」
(黒字は筆者)
権丈教授は、公的年金保険に関わってきた者たちは、年金給付が低下することで国民に不安を与えないように配慮しながら、給付を引き上げるべく慎重に改革を進めてきたのに、金融庁報告書がぶち壊したと言っておられます。
一方のFP側は、将来の給付低下と実質増税(税額控除枠の縮小と社会保険料の増加)の現実を直視して、国民に将来に備えることを伝えるべきだと思っている模様です。
(率直に言って、これはFPとしてのビジネスの場です)
お二人に共通しているのは、「年金の健康診断」である、5年に一度の財政検証をしっかり見て、公的年金が現状どうなっていて、これからどうなるのかを理解することだということでした。(2019年は政府の財政検証の年ですが、発表が遅れているようです)
僕個人はFP資格を取得する中で、公的年金保険の給付が減少していくことを学び、(おそらく退職金や企業年金も同じ運命だろうと思います)
公的年金は定年退職後の収入の安定した基盤とは理解しながらも、
「生活に困っても誰も助けてくれないだろう」という前提で、
自分なりにどうやって(楽しく)生き抜いていくかを考えてきました。
具体的には、下記の順番です。
僕の周囲の年少の方たちも将来を楽観している人は少数派らしくて
「自分たちは年金をもらえない」
「もらっても少ないだろう」
と思っている人が多いようです。
だから、会話の中で「投資」や「資産運用」さらに「個人年金保険」に高い関心があります。
雑談の中で、株式購入やFX取引などをやっていると話す人もいます。
個人的な意見としては、世界経済が高度成長期を過ぎたならば、
かつてのように短期間で資産が倍増する可能性は低下しているので、
資産運用でお金を増やすならば、20~30年の期間で継続することを考えたほうが良いと思っています。
つまり、直ぐには何ともならない、ということですね。
確実に定期的なお金が入るのは、やはり人的資本を使って働くことでしょうね。
資産運用の話をしてくれた人も、
「70歳くらいまでは働かなあかんわ」
と諦めたように言います。
でも「そんなに長く働きたない。早めに死にたいよ」とも言いますね。(苦笑)
多分、現代日本社会の大きな課題は、多くの人にとって
「仕事が楽しくない、苦役だ」
と捉えられていることかもしれませんね。