• 定年男子のランとマネー

「山の霊力」

 

山を走るようになって、山の本を読むことが増えました。

山の地図やガイドブックから始まって、最近は山岳信仰や修験道の本なども読むことがあります。

その中で町田宗鳳さんが書かれた「山の霊力」の一節が心に留まりました。

マイ・マウンテン探しのすすめ」です。(町田宗鳳『山の霊力』p229-232)

町田さんのマイ・マウンテン関係の文章を下記に一部だけ引用してみますと;

同じ山に何度も登っているうちに、未だ見ぬ山の神が何か囁きかけてくるかもしれない。・・(中略)

山の魂は、そこに近づいていく人間の魂に反応するのだ。

マイ・マウンテンとは、その魂の共鳴がいちばん起きやすい山のことである

 

二上山

 

僕にとっての「マイ・マウンテン」を自問してみると「二上山」が真っ先に思い浮かびます。

標高500メートル位の低山ですが、大和の時代から歴史に登場し、様々な伝承やいろいろな遺跡が残っています。

二上神社口から登ると結構な急坂で、雄岳を超えて雌岳へ向かうと、遠く岩湧山や槙野山まで続くダイヤモンドトレイルが始まります。

何よりも自宅から5キロと近いし、僕と姓が同じですよ(笑)

今朝起きたら天気が良かったので、マイ・マウンテン「二上山」に遊びに行ってきました。(10月19日金曜日です)

近鉄五位堂駅を起点に、3キロ走って加守神社から登り始めました。

すっかり秋になったので、涼しいかなと思いましたが、走ると暑いくらいでした。
二上神社口駅前の自販機で水分を1リットル補給してから登り始めました。

まだ紅葉には少し早いですね。

「猪よけ」の戸口を越えてしばらく行くと登山者を見かけました。

(因みに僕はトレイルランニング・スタイルです)
「こんにちは」と僕。
「こんにちは、きつい登りが続きますな」
「全部で2キロくらいですよ。何度も登っておられるのでしょう?」
「いや、初めてです。岐阜から来ました」
「大丈夫ですよ、金華山くらいですから」と言って先に行きました。

しばらく行くと上を見て写真を撮っている人がいました。

「こんにちは、いい写真が撮れましたか?」と僕。
「キツツキがおるから見てるんや。ほら見えるやろ?」
「う~ん」
「あんた、目が悪いんちゃうか?あそこや、上の枝や!」
キツツキが動いたので見えました。
「あんた、若いな。何年生まれや?」
「昭和29年です」
「ワシは22年や。やっぱり若い!」

雄岳を越えて馬の背に行く途中で、鍬のような道具を使って崩れかけた階段を整備している人に会いました。

サイクリストかランナーみたいな感じでした。

「ご苦労様です。利用しているだけですみません」
「いや~。ワシはええ遊び場見つけて喜んでんねん。あんた若いな。幾つや?」
「64です」
「ワシは85や。あと20年あるやないか、ええな~
「ありがとうございます。20年楽しみます!」

雌岳を越えて、岩屋に降りるまえに倒木近くでトレイルランナーに会いました。

「こんにちは。どこまで行くんですか?」とトレイルランナー。
「今日は近くで遊ぶだけです。どこからですか?」
「葛城山まで行って帰ってきました」
「来週友達と葛城山まで行きますが、道は大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」

竹ノ内峠を越えて坂道を歩いているとカメラを持ったおじさんに会いました。

「こんにちは」と僕。
「こんにちは。ワシは写真撮ってんねん。ほら綺麗な花やろ。こんな写真集めてんねん。楽しいで」
「ホント、綺麗だ。いい趣味ですね。」
「あんた、どこまで行くねん?」
「いや~今日は遊びで~」
「何言うてんねん。平石峠までなら行けるやろ?

10月21日のダイトレ縦走大会でるんやろ?」(註;二上山(當麻庁舎)から紀見峠まで40キロの大会です)
「いや~、今回はでません」
「なんや~」
どうやら僕のトレイルランニング・スタイルが良くなかったようですね(笑)

せっかくのおススメなので、予定を変更して平石峠まで走ってきました。

平石峠で折り返して、竹ノ内峠まで戻ってきて、急坂を登り始めると、池のほとりで別のおじいさんが立っていました。

「こんにちは、見てみ、アサギマダラや。今日は温かいから飛んでるんや。雄雌のつがいや!」と池のほうを指して僕に話しかけました・
「??アサギマダラ?蝶ですか?」
「そうや、あそこにいてるやろ。この蝶は長生きで10か月も生きるんや。

せやけどせっかく卵を産んでも幼虫が食べる葉っぱが沖縄にしか無いんや。可哀そうになあ」
「そうなんですか」
「金剛山のほうにはギフチョウもいててな、これは短命でな」
「蝶のことに詳しいんですね」
「いや~。3年前に金剛山登って、パンフレット見て覚えたんや、わはは~」
「教えて頂いてありがとうございました」

 

平日の山は「もう一つの人生」で満ち溢れていました。

もしかすると、僕が聞いたのは人口を介した「山の声」かもしれませんね。

走行距離は18.5キロ、所要時間は4時間21分でした。


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