2018年になってからニューヨーク株式市場がジグザグに上げ下げを繰り返している感じがしていたので、
もしかしたらマーケットが変化しているのかな?と思っていました。
世の中では「アメリカも世界経済も好調を維持している」という意見が多いですね。
そこで「景気はこれから悪くなる」という内容の書籍を探して読んでみました。(笑)
中原圭介著「日本の国難―金融危機の再来の可能性」という、まさにぴったりの書名ですね。(笑)
この本を読んで僕が面白いなと思ったところだけ感想を書いてみます。
まず著者は、現在は「第4次産業革命」の進行中であると述べます。
著者の言う産業革命とは下記の通りです。
第一次産業革命:18世紀以降に始まる製造工程の機械化(蒸気機関の登場)
第二次産業革命:20世紀以降の内燃機関と電気による大量生産時代
第三次産業革命:1980年代以降のコンピュータによる自動化の進展
第四次産業革命:AIを備えた自動化工場が業種を超えてネットワーク化され
国家として立地競争力を張り合う時代
2000年以降に始まった第四次産業革命は、進展すればするほど生産性は上昇するものの、
人手が不要になるため人間から雇用を奪ってしまい、大多数の普通の労働者の実質的な所得は低下の一途を辿るという予測です。
過去の歴史を紐解けば、第一次産業革命の時も英国で職を奪われることを危惧した職人たちが機械の排斥運動をしたことがありますね。
著者は「当時と今回は過去とは違う」という主張をしているように感じます。
根拠は(多分)経済がグローバル化し地球上の全員が参加しているので、
一つの動きが瞬時に世界中に広まってしまうということではないかと思います。
これを読んで思い出したのが、30年近く前に「ベルリンの壁」が壊れて、
それまで資本主義国の10億人の経済だったのが一度に2倍近くの人間が参加することになるので
「賃金が下がり治安が悪化し、大変な世の中になりますね」と経済に詳しい人にきいたら
「そんなことは一過性だよ・・」と一蹴されました(苦笑)
日本は島国なので、実際の共産圏からの労働者の流入は少なかったと思いますが、
それでも1990年代半ばに「これからは海外の労働者と競争だ!」とか言われて非正規化が進み賃金が下がったように記憶します。
現代の世界人口は70億人で、ほとんどすべての人がITで繋がっていると考えれば、一か所の動きが瞬間に全世界に広まり、
加速度がついて後戻りができなくなることは十分考えられますね。
「21世紀の第四次産業革命」が今後どうなるかは分かりませんが、
歴史を振り返れば大きな変化が起きるときには「その時代で最も成功したものが最大の悪影響を受ける」ということはありうると思います。
皆さんがよくご存知の例でいえば、戦国末期に最強を誇った武田の騎馬軍団が、
兵器の技術を革新して大量の鉄砲を連続発射した織田軍団に完敗したといったようなことです。
著者は就職人気ランキングの上位にあるような大企業(現代の成功者)でも10年後はどうなっているか分からないと書いています。
また政治が有効な手を打てずに、このまま人口減が続き実質所得が下がり続けると、1人当たりの税金や社会保険の負担が増大するという未来を予測しています。
どうでしょうか?暗い未来ですね(笑)
本書の最後の部分で著者は「日本の国難」への処方箋を書いていますが、ご興味のある方は本書をご覧ください。
僕の関心事である当面2019~20年ごろの見通しでは、
著者はアメリカを震源として中国を始め世界の景気が下降局面を迎えると予想しています。
(根拠はたくさん書いてありますが、一番はアメリカの家計が債務に耐えられなくなって個人消費が抑えられるという見立てです)
長い景気拡大局面が終わりを迎えるのですね。
以前にも書きましたが、「よそう」を逆に読むと「うそよ」になるので、真に受けすぎるのは良くないと思いますが、
年末くらいからは念のためシートベルトは締めておいたほうがよさそうですね。