• 定年男子のランとマネー

孤高の人 加藤文太郎

 

11月23日、六甲山全山縦走大会に初めて参加しました。

この大会は神戸市と市民の会が共催で、環境保護のために参加人数は2000名に限定されています。

それでも早朝5時を皮切りに7時までの間に、須磨浦公園から宝塚を目指して全長56キロを善男善女(?)2000名が歩き出すのですから、壮観というか大混雑というか、結構大変なことになります。

僕が六甲山全山縦走に興味を持ったのは、40年以上前の学生時代に新田次郎著「孤高の人」を読んだ時です。

大正から昭和にかけて活躍した「単独行」の登山家、加藤文太郎は、トレーニングのため当時の住居であった須磨から宝塚までを休日に一日で往復したそうです。

トレイルランでは「キャノンボール」という大会があって、須磨から宝塚までを走るコース、宝塚から逆走するコース、そして須磨と宝塚を往復するコースがあるそうです。

加藤文太郎は「元祖トレイルランナー」ですね。笑

友人Nさん

今回の大会に参加した切っ掛けは、かつての職場の友人Nさんから、友人4名と毎年この大会に参加していると聞いて、お願いして仲間に入れてもらいました。

前泊するのでホテルの予約とか、会場までの足の確保とかが必要なので面倒なんです。笑

ところが、大会の前々日にNさんが転倒して肘を骨折してしまいやむなくDNS。

僕は初めて会う人たちと一緒に大会に参加することになりました。

前夜に会ったHさんは某会社の常勤監査役です。夕食を一緒にしましたが、退職後はキャンピングカーを買って生活するのが夢だそうです。

一緒に聞いていたもう一人のKさんは、やや呆れ顔でした。

二人とも同じ大学のヨット部出身で「漂流生活?」への憧れがあるように感じました。

Hさんの奥さんは賛成しているそうです。(ホントかな?笑)

二人とも初対面の僕に、有用な全山縦走の情報を沢山教えてくれました。

午後8時過ぎに部屋に戻って翌日の準備です。

リュックにはラン友Kさん作成の「無事カエル」人形をお守りに付けました。

 

山の出会い

翌朝は3時起きで、食事をして体調を整えました。

メンバーは、昨夜遅くに到着したYさんも含めて合計4名です。

4時半にタクシーで会場に向かうと、既に長蛇の列でした。

前夜の雨はすっかり上がっていましたが、寒い暗闇の中で1時間近く待つのは辛いですね。

仲間がいて助かりました。

5時半ごろに出発しましたが、4人は直ぐにバラバラになってしまいました。

この後は、加藤文太郎と同じく「単独行」です。(周囲に一杯人がいました 笑)

ガスは発生して景色は不鮮明でした。

予想通り須磨アルプスの「馬の背」前から大渋滞でした。

冷たい風が強く吹いてきて、レインウェアを防寒着代わりに来て凌ぎました。

今回の参加目的の一つは、冬山の装備でした。

上半身はファイントラックのアクティブスキンにメリノスウピンライトでした。

動いていれば、これだけで大丈夫でした。(そんなので寒くないのですか?とは聞かれましたが 笑)

これゴアテックスのレインを着れば、六甲山の冷たい強風も平気でした。

下半身はパタゴニアの裏起毛タイツ。CWXのロングタイツと迷いましたが、汗冷えを考えて

裏起毛タイツを選択して正解でした。

頭には「バフ」を巻いていました。笑

長い時間をかけて、漸く「馬の背」を過ぎて進みだしました。

因みに「登山者」スタイルではないので、後半の山道では、前を行く人に近づくと道を譲って

くれました。「変な人」に見えたのかな??

前夜の雨の影響かガスが出ていましたが、日の出とともに快晴になってきました。

10時10分過ぎに、菊水山チェックポイントに到着しました。

菊水山に至る途中で岐阜から来た、71歳のIさんと道連れになりました。

50代半ばで山登りを再開し、64歳からマラソンを走っているそうです。僕がトレイルランニング用のシューズを履いていたのを見て声を掛けてくれました。

2人がお互いに出場した、飛騨高山や岐阜清流などのマラソン大会話で盛り上がりました。

僕がトレイルランやウルトラマラソンが好きなのは、大会中にこんな出会いがあるからです。

まるで旅をしているようです。

Iさんは完走後に20時10分の大阪駅発の電車に乗らねばならないというので、では18時半ゴール目標に歩きましょう!と言うことになりました。

目標設定完了です!

菊水山で20分近く分休んで、Iさんを待って10時半に出発です。

ところが鍋蓋山辺りでIさんが遅れ出しました。

「頑張りましょう!」と声を掛けましたが、「休むから先へ行ってください」とのこと。

「摩耶山で待っています」と言いおいて別れました。

摩耶山へ行く道にある天狗道では紅葉が綺麗でした。

余裕が無くていい写真が取れませんでしたが、ところどころでカメラを構えている人を見ました。

摩耶山チェックポイントには13時10分過ぎに到着。

寒いけれど天気も良くて、澄んだ空気の中、神戸の街が眼下に広がりました。

 

握り飯を食べてIさんを待ちましたが、人影を現わしません。

ホットレモン水で温まりましたが、直ぐに冷えてきたので、13時半まで待って已む無く出発しました。

Iさん、ごめんなさい!

摩耶山に着くまでに、少し疲労が溜まっていました。冷たい風の中で体温を奪われたのかもしれません。

摩耶山から少し行った岩場で、宝塚から逆走してくるランナーに出会いました。

「上山さん!」

なんとラン友のSさんです。

Sさんは前述のキャノンボール大会で往復を狙うほどのスピードランナーです。

2~3年前に安藤さんのトレイルランツアーで初めて会ってそれ以来でした。
Sさんは写真が上手くて、おまけに写真の加工センスも抜群です。
岩湧山でススキの中を走って登る僕を撮って、こんな写真を加工して送ってくれました。

帰宅してからFBの投稿を読むと、朝起きて僕が全山縦走に参加するのを見て、僕に会おうと思って、

宝塚から摩耶山経由で新神戸までの30キロを走りに来てくれたのです。

感激ですね!!

「また一緒に走りましょう!」と言って別れましたが、彼が速すぎて、僕が大会で彼と会えるのはスタート地点だけのような気がします。笑

思いがけない出会いがあって、元気いっぱいになりました。

そこから次の一軒茶屋チェックポイントまでポールを使って早足で歩きました。
途中で「猪汁」のサービスがありました。美味しくて2杯頂きました。

ポールは、前述の安藤さんにアドバイスをもらって、この大会のために買いました。

大会参加の目的の一つは、ポールを使うことでしたが、事前に練習していなくてぶっつけ本番でした。

実は、登山用の少し重いものを買ったので、「肩こりするかなあ?」と心配しましたが、とても役に立ちました。

(夏ごろから、ジムで意識的に上半身のトレーニングをしたのが良かったのかもしれません)

安藤さんのアドバイスを思い出して、身体の左右と上下のブレを意識しながら、ポールでバランスをとって歩きました。

周囲をみると、ポールを使ってスピードウオークする参加者が沢山いました。

ランやロードバイクのようにケイデンスを意識しているような感じで、身体をブレさせずに、ポールでバランスを取りながら、脚を交互に素早く動かして進みます。

彼らと短い会話を楽しみながら、こっそりと真似をしてみましたが、とても参考になりました。

16時に一軒茶屋をでてからゴールの宝塚までは14キロです。でも本当は10キロくらいのハズなんです。

どうやら全山縦走56キロ自体が、かなり以前に感覚的に決められた数字を引き継いでいるみたいですね。
「日本の伝統」守るわけです。笑

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201707/0010360322.shtml

僕にキロ数のこだわりはありませんが、コースの最終段階で残りの距離が正確に分からないのには少し困りました。まあ、その程度です。笑

17時半を過ぎると真っ暗になります。気温が下がったようで、ますます冷たい風が強く吹いてきました。山道でヘッドライトを点灯して進みました。

今年の夏から秋にかけて、Mさん、Oさん、Tさんの3人のラン友さんにお付き合いを願って、宝塚から一軒茶屋までのルートをこれまで3回走っていました。

逆走でしたが、道は覚えていたので夜でも不安はありません。

夏に安藤さんのトレイルランツアーで「ナイトラン」にも参加していたので、暗闇をヘッドライト頼りに行くことも大丈夫でした。

塩尾寺までの山道で、真っ暗闇の中、全く一人旅になったので、前後を確認して少し走って見ました。

気持ちよかった!

トレイルは歩くよりも走るほうが快適ですね。笑

他にSさんとAさん、2人のラン友さんに会いたかったのですが、Sさんはスタートが遅れ渋滞に巻き込まれて、Aさんはボランティアの場所が分からず(何回か聞いたのですが、知りませんと言われ)会えませんでした。残念です。

18時33分に宝塚ゴールに到着しました。

 

認定証と盾をもらって、上着だけ着替えてから近くのラーメン屋でビールを飲んでラーメン餃子を食べました。

 

寒さは感じなかったのですが、実際にはすっかり身体が冷えてしまって、ラーメンを食べると暖まりました。

ビールと餃子は最高の組み合わせですね。笑

本当にいろいろな出会いがあって、楽しく充実した2日間でした。

お世話になった皆さん、ありがとうございました。


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