9月2日、大阪難波で家族信託の勉強会に参加しました。
信託の話は多岐に渡り、内容が複雑なので、わかる範囲で簡単に書いてみました。
教えて頂いたのは、司法書士法人ABCの椎葉基史さんです。
まず信託といえば、○○信託銀行といった名前が思い浮かびますが、これは「商事信託」といって「営利目的」で行う信託です。
これに対して「民事信託」というものが存在します。
民事信託は受託者が「営利目的でなく」行う信託のことで、この中に「家族信託」も含まれます。
信託に登場する関係者は、まず財産の運用や管理を依頼する「委託者」、
そして依頼を受けて運用管理する「受託者」、
それに運用管理の利益を受け取る「受益者」です。
具体的に言うと、子供や孫への資産承継を考えている親や、認知症を含めた両親の老後が心配な子供さんが委託者(A)となって、
財産を親族の誰か(家族信託を理解している人)を信じて受託者(B)として託します。
(名義が受託者に変更されます)
受託者(B)はこの資産を運用管理して、子供や孫などの受益者(C)のために使います。
人生の終わりをイメージしてみると、まず「健常」それから「能力減退」続いて「能力喪失」そして「相続」が起こり「二次相続」「三次相続」と継続していきます。
それぞれのステージに対して、「健常」「能力減退」は「任意代理人」が対応可能ですが、「能力喪失」になると代理人では対応が難しくなって「後見人」に移ります。
ところがご本人が亡くなると「任意代理人」も「後見人」も役目を終了してしまい、
「遺言」があれば「遺言執行人」の出番となります。
このように各段階で様々な人たちが登場する必要がありますが、「家族信託」を使うと「健常」から「二次相続」まで対応が可能になります。
「家族信託」の課題は「受託者」の負担がかなり重いことです。
信託自体への理解が広まっていないことから、親族内に適当な方が居ないこともあるでしょうね。
実際の例では、家族信託だけではなくて、保険など多種多様な考え方を組合わせて実行に移すそうなので、
専門家のアドバイスが不可欠になります。
何事も万全とはいきませんが、「家族信託」は「遺言」や「後見人」とともに理解しておきたい制度だと思います。