7月22日に京都で大江英樹さんの講演を聞いてきました。
テーマは「間違いだらけの資産運用」です。
「FPは資産運用のアドバイザーとして今後活躍してほしい。これから述べる資産運用の間違いに陥らないことはもちろんとして、顧客の間違いを正しい方向に導いてほしい。」という大江さんの思いが伝わるセミナーでした。
大江さんの基本的な主張は、資産運用では論理的に考えないで
感情的に判断して失敗することが多いということです。
具体的には3つに分けて説明されます。
① 投資手法に対する勘違い
② 金融商品に対する勘違い
③ 金融機関に対する勘違い
この中で僕が気になった論点を二つほど選んでみます。
資産運用を長期にすれば、運用のブレは大きくなります。
運用のブレがプラスの方向に行くためには、期待リターンがプラスの状態で運用を続けねばなりません。
期待リターンがマイナスの市場では、長く損を続けます。
過去に世界経済は全体として成長を続けてきて、これからも成長するだろうから、資産運用はグローバルに分散したほうが良い
とのご意見です。
大江さんの主張の一つに、なんでも疑問を持てということがあります。
僕の疑問点としては、今後も世界経済は成長を続けるのか?
法政大学教授の水野和夫さんは、「世界は定常状態に入り、いくつかの閉ざされた地域社会が成立する。」ということを主張されます。
つまりもう成長はしないと言ことです。
これには沢山の異論がありますが、こういう考えの人もいるわけです。
大江さん自身も、今後リーマンショッククラスの暴落は何回も発生するだろうという趣旨のことを言われます。
僕流の感じ方では、おそらく投資をするのは良いことだが、
あまり資源と時間を投入しすぎない程度で良いという風にも考えられます。
片手間でできるくらいが安全・安心でしょうね。笑
大江さんは、「投資は価値の向上で利益を産む」もの、
「投機は価格の変動で利益を産む」ものと言われます。
これについては、岡本和久さんが別のセミナーで「資産というパイが増えるには時間がかかる。長期投資は企業が長期間にわたり資産価値を増加させ、株主にパイを還元することだ。」という趣旨のことを話されたことを思い出します。
大江さんは、投機は投資に換金性を担保し、投資は投機に収益機会を提供するのだから、持ちつ持たれつで、どちらも有用と言われます。
しかし、投機は心理で動く面が強いので投資に比べて難易度が高く、ご自身としては勉強して論理的に考えれば成果が上がりやすい投資を勧めるとのことでした。
こう考えると長期の投機ではなくて、長期に投資をやり続けることは、地味な忍耐が必要なようです。
僕は中学校の時に国語の教科書に載っていた、ゲーテの言葉を思い出しました。
「平凡の継続は非凡に通じる」
長期投資を継続できる人は、やはり非凡な人なのでしょうね。