7月19日に大阪倶楽部で作家の北康利さんの講演を聞いてきました。
演題は「先人に学ぶ 危機に強い生き方」です。
北さんはもともと富士銀行で資産の証券化を手掛けたあと、2008年に独立して作家専業になられました。ライフワークは「評伝」です。
具体的には、福沢諭吉、松下幸之助など日本を代表する事業家の事績や人物について詳細に調べて書籍にします。
これは第二次大戦後の日本の文学で欠落しているジャンルです。
理由は,敗戦によって戦前の偉人への個人崇拝が悪いことと見做されたからだそうです。
講演の内容を僕なりに纏めてみます。
「ゆでガエル」的な変化で大きなものは二つあります。
一つは「少子高齢化」
もう一つは「AI/データ」です。
北さんは、このうちAIが社会及ぼす変化について述べます。
AIが社会にもたらす変化の第一は「格差拡大」で
二番目は「担税能力の低下」です。
AIを活用することで、できる人とできない人の貧富の差が拡大する上に、AI自体は税金を払わないので国民が税金を支払う能力自体が下がってしまうと予測します。
社会が不安定になり、国力が低下するということですね。
これらの環境の激変につき、北さんは真剣に「リスクマネジメント」を学び、適切な「リスクコントロール」を行うべきだと主張します。
つまり災害や倒産などのリスク事象が発生してから対応するようなリスクマネジメントではなくて、あらかじめリスクの所在を予見して手を打っておくような予防的リスクマネジメントの必要性を、阪急電鉄創業者の小林一三の例を引いて説明します。
イノベーションは必要だが、変える必要のないものを変えてしまえば、失ったものは戻らないことを話します。
大切な見えない資産である歴史や伝統を否定した中国からは、優秀な人材が退去して国力の回復に時間がかかったとか、
中国や韓国を含む東南アジアの国が発展してきたので、観光や貿易で九州地方が大いに発展する環境変化が起こっていることや、
地球温暖化によって寒かった北海道が農業の適地となり、日本の財産になっているとも述べます。
この変化に対応するヒントとして、既存のシステムがいくら心地よくても、例えば小学校の席替えのように定期的に変えて刺激を生むなどをヒントとして挙げます。
松下幸之助が、誰もが山に登って頂上に立ちたがるが、山に登る道は行く通りもあるが、登っている途中に革命を起こして変わることが頂上に立つために必要だといった言葉を引用します。
どのような変化が起きるかを見極める眼をもち、それに対応するためにどこを変えて、何を変えないかを決めて実行することが、リスクマネジメントの根本になるとの主張でした。