公的年金保険料の不払いに関しては「いざとなれば生活保護を受けるから年金保険料は払わない」という人が、かつていたように思います。
確かに金額だけで比べてみれば、生活保護は月額10数万円で基礎年金は6万円超のようですからね。
今でもそう思っている人が大勢いるかは分かりませんが、生活保護と基礎年金について少し調べてみました。
基礎年金という名前のイメージから生活保護で給付される金額との比較を論じるのだと思いますが、この二つは根本的に違った成り立ちです。
基礎年金は、国家からの強制ではありますが、国民自身が長期間にわたり保険料を納めて、一定年齢になれば給付を受けるものです。片や、生活保護は税を財源として調査と審査のあとで給付が決まるものです。年金には調査も審査もありません。
生活保護の調査は資産や親族関係にも及びます。
例えば自宅を保有していた場合は、家を処分して生活費に充当することが求められます。自動車の所有も不可です。
生活保護は、本当に救済の手立てがない人必要最低限の生活をするためのお金です。つまり自分には資産もないし、助けてくれる人も誰もいないという状態で初めて支給が検討されます。年金収入があればその分は差し引かれます。
ふつうは誰もそのような状態になりたくないので、できるならば給付を受けたくない制度ですね。
税による救貧は、資金を給付する側の負担も大きいのですが、それよりも給付を受ける側の精神的・物質的な負担が大きいのです。
「いざとなったら生活保護」といった軽い感じのものでは無いようです。
審査が厳しいので、そんなに簡単に承認してくれないかもしれません。
年金保険料を払わずに生きてきて、もしも生活保護の審査に通らなかったら大変なことになりますね。
基礎年金は、長い間自分で保険料を支払ってきたものなので、条件を満たせばだれでも給付を受けられます。生活保護は申請後に審査があります。承認されて無事に受給できるかについては、不確実性が高い制度だと思います。それも遠い将来であれば、相当なリスクを取ることになります。