今年のゴールデンウィークに断捨離を志して大掃除をしました。
現在の家に住んで21年になります。
その間にはいろいろな出来事がありました。ついでにいろいろな物が蓄積しました。今回はこの堆積物を片付けるべく大ナタを振るいました。
でも大ナタを振るったつもりが全然はかどりません。
理由は簡単です。堆積物の中身を見るからです。
これまで思いを感じて捨てられなかったものを、改めて見たらやはり捨てられません。
その中の一つに小説がありました。
サマーセット・モームの「月と6ペンス」です。
思い出の小説です。
昨日、たまたまある講演会に参加していて、始まるまでに時間があったので「月と6ペンス」を読んでいました。
すると、向かいの席の見知らぬ方から声を掛けられました。
「ご熱心ですな。何をお読みですか?」
「モームの月と6ペンスです。」
「モームですか?よく大学入試に出ましたね。
オー・ヘンリーとか。」
「そうですね。昔、勉強しなかったので今頃やっています。(笑)これは大学生の頃に読んだ本です。40年前の本なので焼けて汚いと言われているのですよ。(笑)」
そうです。この本は我が家の断捨離を逃れて生き残った本です。多分、僕が原書で読了した最初の小説です。
ところどころに鉛筆で下線が引いてあります。
40年前にどのようなことを考えながら、この小説を読んでいたのかが想像できて、とても面白く読んでいます。
こういう読書のやり方もあるのですね。
どうやら僕は40年前には、この小説の主人公チャールズ・
ストリックランドのように、すべてを捨てて顧みず、自分の好きなように生きていくことに憧れていたようですね。
僕は、これまでも結構好きなように生きてきたように思うので、三つ子の魂百までという諺は正鵠を射ているのかもしれません。
この小説の主人公のモデルは、ポール・ゴーギャンです。
彼の実際の人生がこの小説と、どの程度重なるのかは分かりませんが、自らの才能に殉じるような生き方は、若い人には魅力的だと思います。
人生を60年以上生きてきて、僕にはゴーギャンのような才能もないし、金儲けのセンスも無いことが分かりました。でもせっかくサラリーマンを卒業して組織と無関係になったのだから、及ばずながら自分の人生を楽しく生きていきたいと考えています。