野村さんのお話は、まず骨盤からでした。
日本人と欧米人の骨盤の大きさを比べてみると、日本人の直径の平均は10㎝で欧米人は12㎝だそうです。
つまり欧米人はお尻が大きくてしっかり身体を支えられるのに対して、日本人はお尻で十分支えられずに、足で支えざるを得ない。
そうすると身体が不安定になって、自然に外側広筋を使うようになります。
外側広筋を使うということは、足がO脚になりやすくなります。ゴリラの足ですね。(笑)
骨盤の位置が不安定になると、腰に力を入れてバランスをとるようになります。
脳は一番強い筋肉を使おうとするので、腰の筋肉や足の外側の筋肉を使うように指令を出します。
そうすると腰と足の外側の筋肉に疲れが溜まります。
腰痛や膝痛などが起こりやすくなります。
これに逆らって、腹筋や内転筋を使い、使う筋肉のバランスをとって疲れを溜めないようにするのがトレーニングの目的です。
今年の3月に東京へ行ってフィジカルトレーナーの山田さんにチェックをしてもらったところでは、僕の身体はハムストリングスとお尻に疲れがたまってガチガチと言われました。
自分のことに当てはめれば、昨年の村岡以来、使い続けた筋肉の疲労が溜まって回復せずにバランスを崩してしまっていることになります。
従って、野村さんの推奨する靴の選び方はメーカーの推奨とは真逆になります。
メーカーが、「軽く」「柔らかく」「幅広」「大きく」を推奨しているのは、野村さん流に言えば、使いやすい筋肉ばかりを使わせようとしていることになります。
野村さんは「楽することを止めて、腹筋や内転筋を使う苦しいトレーニングを支えてくれる靴」を推奨しているのです。
野村さんの分類に従えばランニングシューズには4種類あります。
SR(スピードレーシング)=~3分/キロ
LR(ライトレーシング)=3~4分台/キロ
LT(ライトトレーニング)=4~5分台/キロ
TR(トレーニング)=5~7分以上/キロ
野村さんがセミナーで熱弁をふるっておられるのは、すべてTRのことについてです。それ以外は多くを語りませんが、注意事項が一つだけ。
TRはSR,LR,LTの代わりになるが、逆をやると故障の原因になるということです。
アシックスで言えば、TRであるGTでフルマラソンを走っても問題ないが、LRのターサーでキロ6分のジョグをするのは故障のもとということです。
理由として挙げておられるのは、ランニングシューズはそれぞれ走るペースに合わせて設計されているので、当初の目的から外れた使い方をすると効果が上がらないし、時には害になるということした。
簡単に言って、SRは「カーブラスト」といって靴底が内側にカーブして走りやすく作ってあるのに対して、
TRは「ストレートラスト」と言って靴底がまっすぐに作ってあります。
つまりSRは人の足型に似た形で、力が外側に逃げやすい(外側広筋を使いやすい)のに対して、TRは外に逃げると内に戻し、内に倒れると外に戻して体をしっかりと支えてくれます。だからSRを大会と練習に使い続けると外側広筋が疲弊して故障の原因になるのです。
更に踵についてです。
野村さんは日本人とアフリカ人の足を比べてみたそうです。
すると日本人は踵が後ろに少し出ているのですが、アフリカ人はコブがもう一つ余計についているほど出ていることに気づきました。
これは欧米人でも同じ傾向があるようです。
問題は、現在のランニングシューズの殆どが「世界標準」で作ってあることです。
つまり最も販売量が大きなアメリカが靴の木型の基準なので、日本人が履くと踵が「スコスコ」になるのです。走行中は踵が動いてフラフラのはずです。
この点からも、靴を選ぶときには踵(ヒールカウンター)がしっかりしたもので
側面から足を支えてくれるものを選ぶべきとのアドバイスです。