上野千鶴子さんの著書「男おひとりさま道」を久しぶりに読み返してみました。
男にとって辛口に聞こえる上野さんが、男おひとりさまについて述べておられるのですが、その中に「定年」について書いた部分があります。
上野さんは河村幹夫さんの著書からの引用として、男にとっての定年は、まず「雇用定年」次に「仕事定年」最後に「人生定年」があると書いておられます。
それぞれの言葉に説明は不要だと思いますが、普通は他人から決められた定年を「雇用定年」と呼び、自分で決める定年を第二の人生の終わり「仕事定年」、最後の時を「人生定年」と考えます。
上野さんは、これは家族という観点が抜け落ちた考え方だと批判し、さらに「家族定年」を追加すべきだと主張されます。
「家族定年」は「親業定年」と「夫婦定年」に分かれます。
普通は子供が巣立って「親業定年」が訪れ、死別や離別で「夫婦定年」となります。
昨今は晩婚と教育期間の長期化などで、高齢になっても「親業定年」に至らないケースが聞かれます。子供が成人しても引きこもったりすると、「親業」は死ぬまで続く可能性もあります。
さらに上野さんは、これまで「夫婦定年」は女性が考えるものだったが、これからは男性も想定すべきというご意見です。離婚が増えたことや、男性の寿命も延びたことから、妻が夫より先に亡くなる例も増えてきているからでしょう。
フィナンシャルプランナーの観点から「家族定年」を考えれば、若い時からリスクを考えて、一人でも生きていけるような仕事につくとか、遅くとも40代から夫婦や親業の定年後に備えたライフプランを、漠然とでも良いので考えておいたほうが良いと思います。
尚、上野さんの「夫婦定年」後の男性へのアドバイスは、定年後は、職場でもない、家庭でもない、第三の自分の居場所を見つけなさい。そして居場所の見つけ方は女性に学びなさいでした。(苦笑)