資産は収益を生まないと不良債権になります。
例えば10万円を株式に投資して年間1万円の配当を産めば10%の利益率です。しかし株価が下がり続けて5万円になれば配当と合わせても利益率は-40%です。
時間がたてば株価は回復するかもしれませんが、株式を保有し続けるにはコストがかかります。
借入をしていれば計算はしやすいのですが、個人のお金で投資しても「機会費用」という考えを使えばコストがかかっていることになります。
もしも手元に10万円のお金があって別の資産運用を行ったら上がる合理的利益を想定して、あがったと思われる利益と実際に得た10%や-40%の利益や損失とを比較して考えるのが「機会費用」の考え方です。
投資リターンを考える場合には、投資元本の利益であるキャピタルゲインと配当などのインカムゲインの両方を合計して計算しなければなりません。
機関投資家の成績は投資リターンで評価されますから、ソフトウェアを使って瞬間に投資利益の計算がなされると思います。
ところが個人投資家は「塩漬け」と称して、不良資産を持ち続けてはいないでしょうか?
機関投資家並みに緻密に計算している人もおられると思いますが、「機会費用」を考えずに市場の価格が買値より上がったか下がったかだけを見ている方も多いのではないでしょうか?
たとえば成績が低下した毎月分配型の投資信託を持ち続けるなどはこの例でしょう。
ほかにも不良債権化しやすい商品は沢山あります。
例えば賃貸住宅への投資です。
最近はアパート経営を始める話がよくありますが、中長期的に人口が減少していく社会で空き家が急速に増加しているのに賃貸住宅の需要だけが伸びていくとは考えにくいと思います。
投資されている方は、おそらく個別物件で判断して投資されているのだと思います。確かに日本にはファミリー向けの良質な賃貸住宅が不足していますので、これをカバーする賃貸住宅が沢山供給されれば需要はついてくるかもしれません。
でも競争が激しくなると供給過剰となり陳腐化リスクが増大します。
不動産投資には通常借り入れが伴うので資金繰りが厳しくなると途端に不良債権化します。問題は、一度不良化すると株式よりも回復に時間と費用がかかることです。最悪の場合は、いつまでも低収益の不動産物件を抱えることになります。
それでは投資するものは無くなってしまうことになりますが、個別投資というものは元来難しいものです。
投資をやることは重要で必要ですが、投資対象について自分が十分理解できるものに絞るか、手数料を払ってプロに任せるか、個人向け国債などの比較的安全な資産に投資することをお勧めします。