最近フェイスブック仲間の投稿で内館牧子著の小説「終わった人」について感想が飛び交いました。小説の内容は「定年は生前葬だな。」という一文で始まる、元エリート銀行員の退職後の奮闘を描いたものです。
僕は本屋で眺めただけなのですが、投稿へのコメントを読んでいると、長く勤めた会社と、そこで一生懸命働いた自分自身への思いの強さが伝わりました。
一つの会社に長く勤めるほど、従業員は会社への愛着が強くなると思いますが、会社からはどうでしょう?
僕は会社とのつながりは儚いものだと思います。定年まで面倒を見てくれる会社もありますが、途中で放り出す会社もあります。従業員から転職していく会社なども含めて様々なケースがありますが、会社は一度離れると事務手続きでしか繋がらない組織です。
親しかった仲間や上司と個人的な交友が続くことや、転職などの時にお世話になることもあります。でも定年退職して仕事人生を終わった後は、よほど出世した人でもない限りほとんど会社とは無縁です。
会社で仕事をしていると、つい企業の看板を背負っていることを忘れます。
どのような大きな仕事や重要な仕事を担当していても、個人ではなくて会社の中の人として見られています。
でも人は(男は?)自分の実力を過大評価する傾向があるそうです。
定年退職して会社の看板を外されると、自分の中の意識は変わらないのですが、外から見れば透明人間なのです。
その時に自分に自信を持ちすぎていると、冒頭の小説のような、一つのステージが終わったのに
自分の中ではまだ終わっていない、ということが起こりえます。
人生が「終わり良ければ総て良し」ならば、定年退職後にやってくる次ぎのステージを
「人生の再就職」と捉えて、自分らしく生きる道を探しては如何でしょうか。